気管支喘息でも貼れる市販の湿布はありますか?
市販の湿布でも発作の引き金になることがあり、使用前に医師や薬剤師への相談をご検討ください。
気管支喘息(きかんしぜんそく)は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こり、さまざまな刺激によって気道が狭くなる発作を繰り返す病気です。
喘息のある人がすべての湿布を使用できないわけではありません。ただし、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に過敏な人では、NSAIDsを含む貼り薬や塗り薬によって喘息発作が起こる可能性があります。
気管支喘息で市販の湿布に注意が必要なのはなぜ?
市販の湿布や貼り薬には、NSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる鎮痛・抗炎症成分が含まれているものがあります。喘息のある人の一部では、NSAIDsによって喘息症状が急激に悪化することがあります。
厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」では、NSAIDs過敏喘息の患者さんやその既往がある人は、内服薬、坐薬、注射薬だけでなく、貼付薬や塗布薬などの外用薬にも注意が必要とされています。
NSAIDs過敏喘息の既往がある方が、ケトプロフェン2.0%配合の貼付剤を使用した約2時間半後に、生命を脅かすほどの喘息発作を起こした症例が報告されています。この患者さんは、それ以前にはケトプロフェン0.3%配合の貼付剤を使用しても発作を起こしていませんでした(Kashiwabara et al.Intern Med. 2001)。
これは症例報告であり、成分濃度と発作の起こりやすさを一般化できるものではありませんが、以前に低濃度の製品を問題なく使用できたとしても、別の製品を安全に使用できるとは限らないことを示しています。
アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)とは
NSAIDsによって喘息や鼻の症状が悪化する病態を「NSAIDs過敏喘息」または「解熱鎮痛薬喘息」と呼びます。「アスピリン喘息」という名称も使われますが、アスピリン以外のNSAIDsでも発作が起こる可能性があります。
厚生労働省のマニュアルでは、NSAIDs過敏喘息は成人喘息の約5~10%を占めるとされています。また、病歴を確認してもNSAIDsによる症状の誘発歴がない「潜在例」が約4割あるとされ、過去に明らかな問題がなかったことだけでは否定できません。
国際的なメタ解析では、成人喘息におけるNSAIDs過敏喘息の有病率は、負荷試験による評価で9.0%、自己申告による評価で9.9%と報告されています(Morales et al.Allergy. 2015)。
成人になってから喘息を発症した人や、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎、嗅覚障害、重症喘息がある人では、NSAIDs過敏喘息の割合が高いとされています。
気管支喘息が湿布で悪化したときの症状
NSAIDs過敏喘息では、主に次のような症状がみられます。
一般に、内服薬などでは使用後1時間以内に症状が現れることが多いとされています。一方、貼付薬や塗布薬では、皮膚から成分が吸収されるため、数時間たってから症状が現れることがあります。発症まで時間がかかると、使用した薬との関係に気づきにくいため注意が必要です。
気管支喘息の人が市販の湿布を使う前に確認したいこと
自己判断で選ばず、次の点を医師や薬剤師に伝えたうえで相談することをご検討ください。
- 過去に痛み止めや解熱薬で咳・息苦しさが出たことがあるか
- 現在の喘息の状態や使っている薬
- 使いたい湿布に含まれている成分
湿布や塗り薬の使用後に、咳、喘鳴、息苦しさ、強い鼻づまりなどが現れた場合は、ただちに使用を中止し、貼付剤は剝がしてください。医師から指示された発作治療薬がある場合は、その指示に従って使用し、速やかに医療機関を受診しましょう。
呼吸が苦しくて話せない、動けない、意識がもうろうとしている、唇や指先が青紫色になっているなどの症状がある場合は、ただちに救急車を呼んでください。
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監修医からのメッセージ
気管支喘息が治りづらい方へ


(参考文献)
厚生労働省『重篤副作用疾患別対応マニュアル 非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息、解熱鎮痛薬喘息、アスピリン不耐喘息、NSAIDs過敏喘息)』平成18年11月(令和4年2月改定) https://www.pmda.go.jp/files/000245262.pdf.(参照 2026-09-08).
一般社団法人日本呼吸器学会『C-01 気管支ぜんそく(C. アレルギー性肺疾患)』 https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html.(参照 2026-09-08).
Morales DR, Guthrie B, Lipworth BJ, et al. NSAID-exacerbated respiratory disease: a meta-analysis evaluating prevalence, mean provocative dose of aspirin and increased asthma morbidity. Allergy. 2015;70(7):828-35.
Kashiwabara K, Nakamura H. Analgesic-induced asthma caused by 2.0% ketoprofen adhesive agents, but not by 0.3% agents. Intern Med. 2001;40(2):124-6.
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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