後天性血友病の診断基準はなんですか?
第VIII因子活性低下、インヒビター陽性、von Willebrand因子の低下なしです。
後天性血友病の診断は、臨床症状と検査所見の両面から総合的に行われます。以下が主な診断基準です。
①臨床症状
- 成人以降(特に70歳前後)に突然、広範囲におよぶ皮下・筋肉内出血で発症し、出血傾向の既往歴や家族歴が認められません(先天性血友病は幼少時より発症し、すでに治療を行っていることも少なくないことや、家族歴を認めることが多い)。
- 後天性血友病Aでは、その約3/4に基礎疾患(自己免疫疾患、悪性腫瘍、糖尿病、分娩後など)を有し、診断の参考になります。
②血液検査所見
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)延長とPT(プロトロンビン時間)正常を認めた場合、以下の3点を確認して診断します。
APTTとPTはどちらも血液凝固を調べる検査ですが、APTTの経路には第VIII因子が含まれており、PTには含まれていません。したがって、APTT延長かつPT正常により第VIII因子に異常があることが示唆されます。
- (1)第VIII因子活性の低下:通常は著明に低下します(1%未満のことも多い)。
- (2)第VIII因子インヒビターの存在:インヒビターが陽性であることが確定診断の決め手になります。
- (3)von Willebrand因子 (VWF)の低下なし:VWFは止血に必要な分子で、VWFが低下すると第VIII因子も低下しますが、後天性血友病ではVWFは低下しません。
実際の医療現場では、上記(1)、 (2)、 (3)の結果を得るのは時間がかかるため、簡便なAPTT混合試験を行い、「補正されないAPTT延長」を得ることにより診断します。
「患者血漿と正常血漿を混合する試験でAPTTが正常化しない」ことにより、阻害因子(インヒビター)の存在が示唆されます(間接的な証明になります)。
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
(参考文献)
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