再生不良性貧血
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
再生不良性貧血とは
「再生不良性貧血」とはどのような病気ですか?
血液中の白血球、赤血球、血小板が減少する病気であり、骨髄でこれら血球が作られないことがその原因です。
再生不良性貧血は、骨髄の中にある、白血球、赤血球、血小板を作る造血幹細胞において、何らかの障害によりこれら血球が正常に産生されず、血液中の白血球、赤血球、血小板がすべて、あるいは2つ以上減少する病気です。
主な症状は、動いた時に息切れや動悸といった貧血症状と、青あざや鼻血といった出血傾向です。白血球が減少することで感染に伴う発熱がみられることがあります。
この病気は、生まれつき遺伝子の変異があって起こる場合(先天性)と、そうでない場合(後天性)があります。さらに、後天性の場合は何らかの原因があって起こる場合と原因が不明の場合(特発性)があり、90%が特発性とされています。
患者さんの数は、2004年~2013年の10年間にこの病気を罹った患者さんの数は約10,500(年間約1,000人)とされており、国が定める指定難病のひとつです。
再生不良性貧血の症状
再生不良性貧血には初期症状はありますか?
主な症状は、息切れ、動悸、青あざや鼻血などですが、無症状の場合もあります。

再生不良性貧血の初期にみられる主な症状は、息切れ、動悸、青あざや鼻血などです。しかし、軽症例や貧血の進行が遅い例では無症状の場合もあり、たまたま健診で発見されることもあります。
赤血球が減ることによる症状
動いたときに息切れ、動悸、めまい、頭痛、疲労感、顔色が青白くなるなどの貧血症状が起こります。
血小板が減ることによる症状
皮膚の青あざ、鼻血、歯茎の出血などです。
白血球が減ることによる症状
ウイルス感染しやすくなり、発熱を起こしたりすることがあります。
再生不良性貧血ではどのような症状がありますか?
息切れ、動悸、青あざや鼻血などが起こります。また、感染しやすくなり発熱することもあります。
再生不良性貧血の主な症状は、以下の通りです。ただし、軽症例や貧血の進行が遅い例では無症状の場合もあり、たまたま健診で発見されることもあります。
赤血球が減ることによる症状
動いたときに息切れ、動悸、めまい、頭痛、疲労感、顔色が青白くなるなどの貧血症状が起こります。
血小板が減ることによる症状
皮膚の青あざ、鼻血、歯茎の出血などです。ひどくなると、眼底・脳出血、血尿、下血などが起こります。眼底出血では視力障害が現れます。
白血球が減ることによる症状
再生不良性貧血で白血球が少ないとどんな症状が出ますか?
白血球減少により感染症が起こりやすく、発熱、口内炎、倦怠感が生じます。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる細胞が長い間減り続けて起こる病気です。造血幹細胞は、血液中の白血球、赤血球、血小板の起源となる細胞です。
そのため、この病気になると、白血球、赤血球、血小板といった血液の中のすべての細胞が減ってしまい、これを「汎血球減少」と呼びます。
白血球が減ると、体を守る力が弱くなり、細菌やウイルスに感染しやすくなります。赤血球が減ると貧血になり、血小板が減ると出血が止まりにくくなってしまいます。
以上のような理由から、重症例では、白血球数(好中球数)減少に伴う感染症によって発熱がみられます。
また、粘膜の防御力が低下して、口腔内の感染が起こりやすくなって生じるのは口内炎や喉の痛みなどです。
さらに、持続的な感染症や免疫反応によって体力が消耗するため、疲れやすさや倦怠感を訴える場合も多くあります。
参考文献
R.A. Brodsky, et al. Lancet. 2005, 365(9471), 1647-1656.
再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.“再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版”.特発性造血障害に関する調査研究班.http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/AA_final20230801.pdf,(参照 2025-03-24).
中尾眞二.再生不良性貧血 | 症状、診断・治療方針まで.今日の臨床サポート,https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=337(参照 2025-03-24
再生不良性貧血の原因
再生不良性貧血の原因は何がありますか?
骨髄の中の血球の基になる細胞(造血幹細胞)が障害を受けて、減少することが原因です。
再生不良性貧血は、骨髄の中の造血幹細胞の何らかの原因による障害により起こります。造血幹細胞とは、骨髄中に存在し、赤血球、好中球、血小板の基になる未熟な細胞のことです。
これらの血球は、骨髄で作られたあとに血液中に放出されます。健康な人では造血幹細胞からこれらの血球が作り続けられており、血球の寿命により失われた分を補っています。
しかし、再生不良性貧血では造血幹細胞の何らかの原因による障害により、血球が補給出来なくなっています。
この病気は、生まれつき遺伝子の変異があって起こる場合(先天性)と、そうでない場合(後天性)があります。
先天性再生不良性貧血(主にファンコニ貧血)
遺伝子異常によって、造血幹細胞のDNAの修復がうまくいかず造血幹細胞が障害を受けて血液がを作れなくなると考えられていますが、まだ詳しいことはわかっていません。
後天性再生不良性
薬物や放射線治療などによるもの(二次性)と、原因が不明の場合(特発性)があります。特発性の場合、明確な原因の特定は困難ですが、免疫細胞が自身の造血幹細胞を攻撃する自己免疫機序が重要な発症メカニズムのひとつとされています。
参考文献
難病医学研究財団/難病情報センター.“再生不良性貧血(指定難病60)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/106,(参照 2024-09-18).
再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.“特発性造血障害に関する調査研究班、再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版”..http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/Aplastic_Anemia.pdf,(参照 2024-09-18).
ファンコニ貧血(指定難病285).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/4441(参照 2024-09-18)
再生不良性貧血の検査・診断
再生不良性貧血のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
再生不良性貧血の初期にみられる主な症状は、息切れや動悸などの貧血症状、青あざや鼻血などの出血傾向です。しかし、軽症例や貧血の進行が遅い例では無症状の場合もありますので、健診などで赤血球などの血球減少を指摘された場合には、医療機関を受診してください。
再生不良性貧血の詳しい症状については、以下のユビー病気のQ&Aを参照いただき、セルフチェックの参考としてください。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、再生不良性貧血かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
血液検査でPDWやMPVが少ないと言われた場合、再生不良性貧血ですか?
PDWやMPVが低い場合、再生不良性貧血の可能性はありますが、確定診断には他の検査が必要です。
PDWは、血小板の大きさの分布幅を反映する値です。PDWの低下は血小板の大きさのばらつきが小さいことを意味し、血小板の産生が抑制されている可能性があります。
一方、MPVは血小板の平均容積を表す値です。MPVの低下は血小板の小型化を示し、骨髄における血小板産生が低下している可能性が示唆されます。
再生不良性貧血では、血小板産生低下に関連した血小板減少が起こります。よってMPVは低下し、PDWも同様の傾向が認められることが示されています。
血液検査でPDWやMPVが低い場合、再生不良性貧血の可能性は考えられますが、これだけでは確定診断はできません。
最終的な診断には、診断基準項目である赤血球、白血球、血小板といった他の血液検査や、骨髄検査を踏まえた医師の判断が必要です。
参考文献
再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.“再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版”.特発性造血障害に関する調査研究班.http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/AA_final20230801.pdf,(参照 2025-03-24).
松野一彦ほか.平均血小板容積(MPV)・血小板分布幅(PDW).一般社団法人 日本血栓止血学会 用語集,https://jsth.medical-words.jp/words/word-413/(参照 2025-03-24)
中尾眞二.再生不良性貧血 | 症状、診断・治療方針まで.今日の臨床サポート,https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=337(参照 2025-03-24)
再生不良性貧血の検査方法にはどのようなものがありますか?
血球数や骨髄を評価するものが主です。
再生不良性貧血の検査法には、以下のようなものがあります。血球数や骨髄を評価するものが主です。
血液検査
末梢血の血球数を測定し、ヘモグロビン10g/dL未満、好中球1,500/μL未満、血小板10万/μL未満の3項目中2つ以上を満たすか確認します。MCV、血清鉄、不飽和鉄結合能低下、トロンボポエチンなども測定し、基準を満たすか確認します。
骨髄穿刺検査
腰骨から針を刺し骨髄液を採取し、顕微鏡で確認します。有核細胞が減少し、特に巨核球が著しく少ないのが特徴です。重症例では細胞がほとんどなく、軽症では一部正常に見えたり、赤芽球の軽い異形成が見られたりすることがあります。
骨髄生検
腸骨から組織を採取して造血細胞の割合の低下を調べ、細胞密度を評価します。
染色体検査
他の疾患を除外するため、DNA架橋試験で染色体脆弱性を調べます。若年者では必ず実施し、異常があれば先天性と診断します。
フローサイトメトリー
GPIアンカー蛋白欠損血球(CD55/CD59陰性)の有無を調べます。約50%の患者さんで検出され、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)移行のモニタリングにも有用です。
胸腰椎MRI
造血組織の減少と脂肪組織の増加を画像で確認します。骨髄低形成を非侵襲的に評価できる検査です。
再生不良性貧血と診断された場合、余命はどれくらいでしょうか?
重症度により予後が異なりますが、早めに的確に治療された場合70%の方が輸血不要になるまで改善します。
近年、治療の発展や骨髄移植が早めに行われるようになったことで、的確に治療された場合、70%の方が輸血不要になるまで改善でき、約90%は長期生存することができるとされています。
しかし、好中球の減少に対する治療(G-CSF)の効果がない場合、早めに骨髄移植が行われないと感染症発症により死亡する確率が高くなります。また、一部の重症例や発症後長期間経過した患者さんでは治療に反応せず、頻回な輸血が必要な場合、輸血後鉄過剰症いう別の病気になり、糖尿病や心不全、肝障害などの症状が現れます。
また、免疫抑制療法で改善した患者さんの約5%は骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病などの悪性疾患に移行するとされています。このため、血球減少が改善したあとも、定期的に検査を受ける必要があります。
再生不良性貧血検査を受ける際の注意点はありますか?
検査によっては注意すべきことがあります。
再生不良性貧血の検査を受ける際、検査によっては注意すべきことがあります。以下に個人の見解を記します。
再生不良性貧血の治療・対処法
再生不良性貧血の場合、主にどのような治療をしますか?
輸血などの支持療法や、造血を回復させるための薬物治療などがあります。
再生不良性貧血の治療としては、輸血などの支持療法や、造血を回復させるための薬物治療(免疫抑制療法、TPO受容体作動薬、蛋白同化ステロイド療法)、骨髄移植があります。
支持療法
貧血に対する赤血球の輸血、血小板減少に対する血小板輸血、好中球の減少に対する顆粒球コロニ一刺激因子(G-CSF)の使用などが推奨されています。
免疫抑制療法
造血幹細胞を攻撃しているリンパ球を抑えて造血を回復させる治療法であり、シクロスポリンやATGというお薬が使用されます。
トロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)
造血幹細胞に直接作用して血液細胞を増やす薬です。経口で服用するエルトロンボパグと注射剤のロミプロスチムがあります。
蛋白同化ステロイド療法
赤血球産生を刺激するエリスロポエチンというホルモンを出させ、造血幹細胞に作用して増殖を促す方法です。
造血幹細胞移植
患者さんの骨髄中の造血幹細胞を、他の人の正常な骨髄などから得られる造血幹細胞で置き換える治療法です。
再生不良性貧血は骨髄移植で治療できますか?
stage2b以上で40歳未満の方は、HLA一致同胞ドナーがいる場合、造血幹細胞移植が第一選択です。
再生不良性貧血は、症状の重さによって5段階に分けられます。軽症のstage1から最重症のstage5まであり、それぞれの段階に合わせて治療方法が決められます。
中等症以上(stage2b~5)の患者さんには、骨髄移植という治療が検討されます。特に40歳未満で、家族の中に血液型が完全に一致する人(ドナー)がいる場合は、骨髄移植が第一選択の治療方法とされています。
参考までに、日本で行われた研究の報告をご紹介します。
17歳未満の若い患者さんの場合、骨髄移植と免疫抑制剤(体の免疫を抑える薬)による治療を比べた研究では、生存率に大きな違いはみられず、骨髄移植を受けた患者さんのほうが長く治療効果が続くことがわかりました。
特に20歳くらいまでの若い患者さんでは、移植後の問題が少ないため、骨髄移植がすすめられています。
一方、40歳以上の患者さんの場合は少し事情が変わります。この年齢では骨髄移植の成功率が約70%と低くなるため、主に免疫抑制剤を使う治療が行われます。
具体的には、抗胸腺細胞グロブリン、シクロスポリン、エルトロンボパグという3種類の薬を組み合わせて使います。
受診の目安・何科を受診するべきか
再生不良性貧血が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
血液内科、血液腫瘍内科を受診してください。
再生不良性貧血が疑われる場合は、血液内科や血液腫瘍内科を受診してください。
検査項目としては、血液検査、骨髄穿刺・骨髄生検、MRIなどが行われます。
再生不良性貧血のように血球が減少していたり、血球が作られない状態になっているなどの検査所見が現れる病気はほかにも数多くあります。そのため、正確に診断するためには症状の確認と併せて、あらゆる検査を行う必要があります。
もし、近くに血液内科や血液腫瘍内科が無い場合には、まずかかりつけ医やお近くの内科を受診してください。
再生不良性貧血が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
健診で赤血球・白血球・血小板の減少を指摘されたり、貧血や出血傾向がある場合は受診を検討してください。
再生不良性貧血の初期にみられる主な症状は、息切れや動悸などの貧血症状、青あざや鼻血などの出血傾向です。
しかし、軽症例や貧血の進行が遅い例では無症状の場合もありますので、健診などで赤血球などの血球減少を指摘された場合には、医療機関を受診してください。
再生不良性貧血の主な症状や初期症状については、以下のユビー病気のQ&Aを参照いただき、受診の目安としてください。
再生不良性貧血の専門医がいる近くの病院はありますか?
再生不良性貧血の専門医がいる病院を見る対処法・セルフケア
再生不良性貧血で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬物療法だけでは良好な経過が得られない場合、骨髄移植が行われる場合があります。
薬物療法だけでは良好な経過が得られない場合や、重症例の場合には骨髄を中心とした造血幹細胞移植が行われる場合があります。
造血幹細胞移植は、患者さんの骨髄中の造血幹細胞を、他の人の正常な骨髄などから得られる造血幹細胞で置き換える治療法です。HLAという白血球の型を指標に、兄弟姉妹、もしくは骨髄バンクや臍帯血バンクの提供者(ドナー)から造血幹細胞の提供を受け、移植します。移植を行う際には、薬物療法や放射線治療が組み合わせて行われます。
もしくは、薬剤の併用や変更が効果を発揮する可能性もあります。
治療法は、状態や治療経過などに応じて最適な計画が立てられます。気になる点や不安な点がある場合は、担当医にご相談ください。
再生不良性貧血に関連するその他の質問
再生不良性貧血の場合、発熱が起こるのはなぜですか?
白血球減少により感染防御が低下し、感染症による発熱が起こるためです。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる細胞が長い間減り続けて起こる病気です。造血幹細胞は、血液中の白血球、赤血球、血小板の起源となる細胞です。
そのため、この病気になると、白血球、赤血球、血小板といった血液の中のすべての細胞が減ってしまい、これを「汎血球減少」と呼びます。
白血球が減ると、体を守る力が弱くなり、細菌やウイルスに感染しやすくなります。赤血球が減ると貧血になり、血小板が減ると出血が止まりにくくなってしまいます。
症状が重い場合は、白血球(特に好中球)が減りすぎて、感染症にかかりやすくなるため、熱が出ることがあります。
重症になるリスクが高まるのは、好中球の数が血液1μlあたり500個以下の状態です。
特に38℃以上の発熱で寒気や震えがある場合は、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。
再生不良性貧血の場合、咳が出ることはありますか?
再生不良性貧血では白血球が減少し、呼吸器感染症のリスクが高まるため、咳が出ることがあります。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる細胞が長い間減り続けて起こる病気です。造血幹細胞は、血液中の白血球、赤血球、血小板の起源となる細胞です。
そのため、この病気は、白血球、赤血球、血小板といった血液の中のすべての細胞が減ってしまう「汎血球減少」を特徴としています。
特に白血球が減少すると、細菌やウイルス感染に対する防御を弱めます。
このような理由から再生不良性貧血では、呼吸器感染症のリスクが高まり、その結果として咳が出ることがあります。
したがって、再生不良性貧血の患者さんは、咳が出る可能性があると言えるでしょう。
参考文献
R.A. Brodsky, et al. Lancet. 2005, 365(9471), 1647-1656.
再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.“再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版”.特発性造血障害に関する調査研究班.http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/AA_final20230801.pdf,(参照 2025-03-24).
中尾眞二.再生不良性貧血 | 症状、診断・治療方針まで.今日の臨床サポート,https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=337(参照 2025-03-24)
再生不良性貧血の人で点状出血がみられる場合、疲れが原因ですか?
再生不良性貧血の点状出血は、血小板減少によるもので、疲れが直接の原因ではありません。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる細胞が長い間減り続けて起こる病気です。造血幹細胞は、血液中の白血球、赤血球、血小板の起源となる細胞です。
そのため、この病気は、白血球、赤血球、血小板といった血液の中のすべての細胞が減ってしまう「汎血球減少」を特徴としており、特に血小板の減少は出血に関係する症状(出血傾向)の原因になります。
具体的には皮膚や粘膜に点状出血や紫斑(紫色のあざ)が現れることがあり、ほかにも歯肉出血、鼻出血、脳内出血などがみられます。
疲れは再生不良性貧血の症状の一部として現れることがありますが、点状出血を伴う場合、疲れや他の要因ではなく、血小板の減少が主な原因であると考えられます。
参考文献
R.A. Brodsky, et al. Lancet. 2005, 365(9471), 1647-1656.
再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.“再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版”.特発性造血障害に関する調査研究班.http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/AA_final20230801.pdf,(参照 2025-03-24).
中尾眞二.再生不良性貧血 | 症状、診断・治療方針まで.今日の臨床サポート,https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=337(参照 2025-03-24)
再生不良性貧血で亡くなる可能性はありますか?
再生不良性貧血では重症例での死亡リスクは高いですが、約90%は適切な治療で長期生存が期待できます。
再生不良性貧血は、重症度によって軽症のstage1から最重症のstage5まで分類されています。軽症、中等症の中には、汎血球減少があってもまったく進行しない例や、自然に回復する例もあります。
かつては、重症例では汎血球減少が進行し、支持療法のみでは半年で50%が死亡するとされていました。
しかし、最近では抗生物質、G-CSF、血小板輸血などの支持療法が発達し、免疫抑制療法や骨髄移植が発症後早めに行われるようになったため、約7割が輸血不要となるまで改善し、9割近くに長期生存が期待できます。
ただし、好中球数0の劇症型で感染症がコントロールできない成人患者さんでは、免疫抑制療法が行えないまま、感染症のため死亡する例が多いとされます。
再生不良性貧血の場合、高血圧と貧血が両方あるとどうなりますか?
心血管負荷の増大や出血リスクの上昇を引き起こし、治療薬の副作用が高血圧増悪をきたす可能性があります。
再生不良性貧血と高血圧の併存は、疾患自体の病態と治療薬の副作用が複合的に作用し、以下のような影響を及ぼす可能性があります。
1. 病態と症状の相互作用
- ①貧血による心血管負荷 :再生不良性貧血による赤血球減少は酸素運搬能力の低下を招き、心拍数増加や心臓の過剰な働きを引き起こします。これに高血圧が加わると、心臓への負担がさらに増大し、心不全や不整脈のリスクが高まります。
- ②出血リスクの増加: 血小板減少に伴う出血傾向(鼻血・歯茎からの出血など)がある場合、高血圧は出血を悪化させる要因となります。特に脳出血などの重篤な合併症のリスクが懸念されます。
2. 治療薬の副作用による高血圧
再生不良性貧血の治療で使用される免疫抑制薬(シクロスポリンなど)や副腎皮質ステロイドは、以下のように高血圧を誘発または悪化させる可能性があります。
- ①シクロスポリン:血管収縮作用により腎機能障害を伴いながら血圧上昇を引き起こします。
- ②副腎皮質ステロイド:ナトリウム貯留や体液量増加を通じて血圧を上昇させます。
これらを考慮して、以下のような管理が求められます。
- ①治療のバランス調整 :免疫抑制療法の継続が必要な場合、高血圧を悪化させる薬剤の減量や変更が検討されます。例えば、シクロスポリンの血中濃度を厳密にモニタリングしつつ、降圧薬を併用する場合があります。
- ②心血管リスクの監視: 心エコーなどの定期的な心機能評価や血圧管理が推奨されます。貧血の程度によっては赤血球輸血が検討されますが、過剰な輸血は鉄過剰症や、さらに血圧を上昇させるリスクがあるため注意が必要です。
参考文献
中田憲司. 貧血と血圧の関係 透析ケア 2023,29:30-32.. メディカ出版. 2023
再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.“再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版”.特発性造血障害に関する調査研究班.http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/AA_final20230801.pdf,(参照 2025-03-24).
中尾眞二.再生不良性貧血 | 症状、診断・治療方針まで.今日の臨床サポート,https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=337(参照 2025-03-24)
再生不良性貧血は輸血が必要な病気ですか?
再生不良性貧血は重症度により、輸血が必要な場合があります。
再生不良性貧血は、軽症のstage1から重症のstage5まで重症度によって分類されています。
この重症度基準によりますと、軽症stage1および中等症stage2aまでは「赤血球輸血を必要としない」とされていますが、中等症stage2b以上は「赤血球輸血を必要とする」と定義されています。
つまり、再生不良性貧血は重症度によりますが、輸血が必要な病気と言えるでしょう。
赤血球輸血は、患者さんの自覚症状に応じてヘモグロビン7g/dL程度以上を維持できるように行われます。
再生不良性貧血の場合、単球の値が低いとどうなりますか?
再生不良性貧血において単球が少ない状態は、特定の感染症リスクを高める可能性があります。
一般的に単球が単独で減少することはまれで、通常は他の血球の異常を伴うとされています。
再生不良性貧血における白血球減少は好中球減少が主体ですが、再生不良性貧血は単球減少を含む汎血球減少が起こる病気として認識されています。
一方で、単球減少は特定の感染症(非結核性抗酸菌感染症、真菌感染症、ヒトパピローマウイルスなど)のリスクを高める可能性があると考えられています。
このことから、単球減少は再生不良性貧血において、潜在的な感染症のリスクをさらに増大させると考えられます。
参考文献
F. Fabozzi, et al. Front Immunol. 2022, 13, 865773.
再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.“再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版”.特発性造血障害に関する調査研究班.http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/AA_final20230801.pdf,(参照 2025-03-24).
中尾眞二.再生不良性貧血 | 症状、診断・治療方針まで.今日の臨床サポート,https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=337(参照 2025-03-24)
樋口敬和.その他の白血球分画異常(単球、好塩基球、リンパ球異常).今日の臨床サポート,https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=1860(参照 2025-03-24)
再生不良性貧血は遺伝しますか?
再生不良性貧血は一部が遺伝性ですが、大部分は後天的に発症します。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる細胞が長い間減り続けて起こる病気です。造血幹細胞は、血液中の白血球、赤血球、血小板の起源となる細胞です。
そのため、この病気は、白血球、赤血球、血小板といった血液の中のすべての細胞が減ってしまう「汎血球減少」を特徴としています。
原因は大きく分けて先天性(生まれつきのもの)と、あとから起こるもの(後天性)に分かれています。
先天性の主な原因として、常染色体劣性の遺伝性疾患であるFanconi貧血があります。
後天性の再生不良性貧血には原因不明の特発性(一次性)と、さまざまな薬剤や放射線被爆・ベンゼンなどの化学物質による二次性があり、わが国では大部分が特発性とされています。
以上から、ごく一部の再生不良性貧血は遺伝しますが、大部分は後天的に罹患する病気と言えます。
再生不良性貧血の血小板やヘモグロビンの値はどれくらいですか?
再生不良性貧血の中等症以上では、ヘモグロビン 6〜7g/dL
再生不良性貧血は、重症度によって軽症のstage1から最重症のstage5まで分類されています。
この重症度基準によると、軽症stage1および中等症stage2aまでは「赤血球輸血を必要としない」、中等症stage2b以上では「赤血球輸血を必要とする」と定義されています。
赤血球輸血を考慮するヘモグロビン値は、患者さんの自覚症状に応じてヘモグロビン6~7g/dLとされていますので、中等症stage2b以上ではヘモグロビン値6~7g/dL以下と予想されます。
一方、血小板は重症度基準に含まれており、以下の通りです。
- 中等症stage2b〜やや重症stage3: 血小板50,000/μl未満
- 重症stage4以上: 血小板20,000/μl未満
再生不良性貧血は難病ですか?
再生不良性貧血は厚生労働省の指定難病であり、重症度基準Stage2以上であれば、難病認定の対象です。
再生不良性貧血は、厚生労働省が定める指定難病のひとつです。
重症度基準stage2以上の場合は難病認定を申請し、認定されると診療費の自己負担分の一部が公費負担として助成されます。
2015年に難病法の施行されて以降、指定難病の医療費助成認定に重症度基準が導入されました。経過措置の2年間を経て、2017年以降に受給対象は中等症以上の stage2~stage5 になったという経緯があります。
2020年度末の時点で、医療受給者数は8,724人、医療受給者に該当する有病率(特定の時点において、特定の疾患を患っている人の割合)は、人口10万人に対して6.9人となっています。
再生不良性貧血の場合、感染リスクが高いのはなぜですか?
白血球が減少し、細菌やウイルス感染に対する防御が弱まるため、感染リスクが高まります。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる細胞が長い間減り続けて起こる病気です。造血幹細胞は、血液中の白血球、赤血球、血小板の起源となる細胞です。
そのため、この病気は、白血球、赤血球、血小板といった血液の中のすべての細胞が減ってしまう「汎血球減少」を特徴としています。
特に白血球減少は細菌やウイルス感染に対する防御を弱めます。再生不良性貧血では感染症のリスクが高まり、具体的に、好中球数が 500/μl以下の場合には高頻度で重症感染症となります。
治療では、好中球増殖および機能増強の働きのある顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF)投与が適応です。
再生不良性貧血の人の白血球が少ないのは生まれつきですか?
再生不良性貧血の白血球減少は、多くは後天性でごく一部が生まれつきです。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞と呼ばれる細胞が長い間減り続けて起こる病気です。造血幹細胞は、血液中の白血球、赤血球、血小板の起源となる細胞です。
そのため、この病気は、白血球、赤血球、血小板といった血液の中のすべての細胞が減ってしまう「汎血球減少」を特徴としています。
再生不良性貧血で白血球が減るのは、このように骨髄で白血球が十分な量を産生されなくなってしまうためです。
原因は大きく分けて先天性(生まれつきのもの)と、あとから起こるもの(後天性)に分かれています。
先天性の主な原因にはFanconi貧血という遺伝病がありますが、これは両親から受け継いだ遺伝子に問題があるため発症する病気です。
後天性の再生不良性貧血には原因不明の特発性(一次性)と、さまざまな薬剤や放射線被爆・ベンゼンなどの化学物質による二次性があります。
わが国では大部分が特発性とされていますので、生まれつきの再生不良性貧血の方はごく一部と言えるでしょう。
再生不良性貧血について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「再生不良性貧血」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- めまいがしますか?
- 口の中にただれやえぐれがありますか?
- ささいなことでも血が出てしまいますか?
- 皮ふに紫色のあざまたはブツブツがありますか?
- 体のだるさはありますか?
再生不良性貧血に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03