糖尿病の足潰瘍や壊疽は、足を切断せずに治療できますか?
血流と感染を整えたうえで、植皮や皮弁で足を残せる場合があります。
足潰瘍や壊疽があっても、条件が整えば足を残す方向の治療が選ばれることがあります。
糖尿病性足潰瘍で切断を避けるための治療の組み立て
糖尿病性足病変の治療には、全身状態の管理、デブリードマン(治癒の妨げになる壊死組織などを取り除く処置)などの局所処置、感染症治療、血流が著しく低下した下肢への血行再建、免荷用装具や靴の作製、歩行リハビリテーション、栄養指導や療養支援などが必要とされ、さまざまな専門医や多職種によるチーム医療が重要とされています(糖尿病診療ガイドライン2024)。骨髄炎を伴う場合でも、切断せずに壊死した骨や軟部組織だけを取り除き、より足先を温存する方法が試みられ、有用性が示されています。
形成外科が行う手術(デブリードマン・植皮・皮弁)
- デブリードマン:壊死組織や角化した皮膚を取り除く
- 陰圧閉鎖療法:創を密閉して吸引し、肉芽が盛り上がるのを助ける
- 植皮:ほかの部位の皮膚を薄く採って欠損部を覆う
- 皮弁:血流を伴う皮膚・脂肪・筋肉のまとまりを移し、骨や腱が露出した深い欠損を覆う
陰圧閉鎖療法は糖尿病性潰瘍への使用が推奨されています(創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―3:糖尿病性潰瘍・壊疽ガイドライン)。
再建手術の成績と限界
45件の研究(合わせて1,681人)をまとめた報告では、皮弁による再建を受けた人の12ヶ月時点の下肢喪失率は11.39%、遊離皮弁が生着しなかった割合は9.95%、死亡率は6.35%でした。ただし含まれた研究はいずれも偏りのリスクが高く、ほかの治療と比べて優れているかどうかは明らかでないとされています。
一方で、深部にガスを伴う感染、膿瘍、壊死性筋膜炎は緊急の外科的処置が必要とされ、切断を行う場合は事前に切断部位の血流状態を評価するとされています(糖尿病診療ガイドライン2024)。どの方法を選べるかは創(きず)の深さ・感染・血流の状態によって変わるため、医療機関への相談をご検討ください。
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(参考文献)
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024 11章 糖尿病性足病変」https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/11_1.pdf.(参照 2026-10-07).
日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―3:糖尿病性潰瘍・壊疽ガイドライン」日皮会誌 127(9):1989-2031, 2017
Reed AJM, Lim NTY, Yip SWL, et al. Outcomes of Flap Reconstruction for Diabetic Foot Ulcers: A Systematic Review and Meta-Analysis of Clinical Studies. Plast Reconstr Surg. 2024;154(5):1118-1130.
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日本医科大学付属病院形成外科 形成外科
初岡 佑一 監修
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