多発血管炎性肉芽腫症で中耳炎になることはありますか?
多発血管炎性肉芽腫症では、初期症状として中耳炎になることがよくあります。患者さんの約90%に耳や鼻の症状が現れるとされており、一般的な抗菌薬を飲んでも治りにくいのが特徴です。
多発血管炎性肉芽腫症とは
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、免疫の異常によって全身の細い血管に炎症が起きる国の指定難病です。主に、鼻や耳・喉、肺、そして腎臓に症状が現れやすいという特徴があります。
多発血管炎性肉芽腫症でみられる中耳炎
この病気では、血管の炎症が耳の奥(中耳)に及ぶことで中耳炎を引き起こすことがあります。海外のデータでは患者さんの約90%に耳や鼻、副鼻腔の症状が現れるとされており、全身の症状や肺・腎臓の障害が進む前の「初期サイン」として、数週間から数ヶ月にわたって耳や鼻の不調だけが続くケースも珍しくありません。日本の指定難病診断基準でも、中耳炎は代表的な主要症状のひとつに位置づけられています。
気をつけたい耳の症状
一般的な細菌感染による中耳炎とは異なり、抗菌薬(抗生物質)による治療を行ってもなかなか治らないのが大きな特徴です。中耳炎とあわせて、次のような症状に注意が必要です。
- 難聴: 音が伝わりにくくなるだけでなく、神経がダメージを受けて聞こえなくなることもあります。
- 耳だれ(耳漏): 耳から液体や膿が出ます。
- 耳の痛み(耳痛)
近年では、このように特定の自己抗体(ANCA)が関わる治りにくい中耳炎(OMAAV:ANCA関連中耳炎)の存在が広く知られるようになり、早期発見の重要な手がかりとなっています。
治療と受診の目安
この病気が原因で起こる中耳炎は、耳だけの治療では根本的な解決にならず、全身の血管の炎症を抑えるための治療(副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬、生物学的製剤など)が必要になります。治療が遅れると、永久的な難聴などの後遺症が残ったり、肺や腎臓への深刻なダメージ(呼吸不全や腎不全)に繋がったりする恐れがあります。
抗生物質を飲んでも中耳炎が改善しない場合や、耳の痛み、聞こえにくさ、耳だれが長引く場合は、背後にこのような病気が隠れている可能性もあるため、早めに耳鼻咽喉科や専門の医療機関を受診してください。
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(参考文献)
難病情報センター.“多発血管炎性肉芽腫症(指定難病44)”.厚生労働省.https://www.nanbyou.or.jp/entry/4011,(参照 2026-08-18).
厚生労働省.“指定難病44 多発血管炎性肉芽腫症 概要”..https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089937.pdf,(参照 2026-08-18).
立山香織ほか. ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)の早期診断のために―OMAAV14症例の血清学的検討―. 日本耳鼻咽喉科学会会報. 2015, 118, p.1133-1142.
Qaisar H, et al. Granulomatosis with Polyangiitis Manifesting as Refractory Otitis Media and Mastoiditis. Arch Iran Med. 2019, 22, p.410-413.
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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