「多発血管炎性肉芽腫症」とはどのような病気ですか?
多発血管炎性肉芽腫症は、ANCA関連血管炎の一種で、上気道・肺・腎に炎症が起こる指定難病です。
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)とは
多発血管炎性肉芽腫症(GPA:以前は「ウェゲナー肉芽腫症」と呼ばれていました)は、免疫の異常によって全身の細い血管に強い炎症が起きる病気(ANCA関連血管炎)です。
血管に壊死(組織が死んでしまうこと)や肉芽腫(炎症によってできる腫瘤・塊)が生じ、特に「上気道(耳・鼻・喉)」「肺(気管支含む)」「腎臓」の3つの臓器に大きな影響を及ぼすのが特徴です。
主な原因
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、本来は自分を守るはずの免疫システムに異常が生じ、自分の好中球(白血球の一種)を攻撃してしまう「ANCA(アンカ)」と呼ばれる自己抗体が作られることが深く関わっていると考えられています。また、特定の遺伝的な要因や感染症などの環境要因も複合的に影響しているとされています。
どのような症状が出ますか?
多くの場合、まず発熱、倦怠感(全身のだるさ)、食欲不振、体重減少、関節痛といった全身症状から始まります。その後、特徴的な臓器の症状が現れます。
上気道(耳・鼻・喉)の症状
肺・気道の症状
腎臓の症状
その他の症状
重症化した場合のリスク
治療を行わなかったり重症化したりすると、生命や重要臓器の機能に深刻な影響を及ぼします。
- びまん性肺胞出血:肺の毛細血管で激しい炎症が起き、肺全体から出血して激しい呼吸困難に陥ります。一時的に人工呼吸器による集中治療が必要となります。
- 末期腎不全:腎機能が著しく低下して老廃物が排泄できなくなり、生涯にわたる血液透析が必要になることがあります。
- 不可逆的な後遺症:鼻の変形、神経破壊による永久的な難聴や視力障害、手足の麻痺などが残る可能性があります。
主な治療法
治療は「寛解導入(かんかいどうにゅう:炎症を急速に抑え込んで病気を落ち着かせる段階)」と「寛解維持(かんかいいじ:落ち着いた状態を長く保ち、再燃を防ぐ段階)」の2つのステップで行われます。
1. 寛解導入療法(初期治療)
副腎皮質ステロイドと強力な免疫抑制薬である「シクロホスファミド」または「リツキシマブ」を組み合わせて、速やかに強い炎症を抑え込みます。
2. 寛解維持療法(維持治療)
病状が落ち着いた後は、ステロイドの量を徐々に減らしながら、「リツキシマブ」や「アザチオプリン」などの薬を数年間にわたって服用し、病気が再び悪化(再燃)するのを防ぎます。
受診について
原因不明の発熱や倦怠感が続き、抗菌薬(抗生剤)で改善しない慢性的な鼻・耳の症状や、血痰・血尿が見られる場合は、早めにリウマチ膠原病内科などの専門科を受診することが非常に重要です。早期に発見して適切な治療を始めれば、高確率で寛解(落ち着いた状態)を目指すことができます。
多発血管炎性肉芽腫症について、特に知りたいことは何ですか?
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(参考文献)
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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