強迫性障害はどう診断する?強迫性障害

監修医師阿部 吉倫内科

更新日
2026/10/27
公開日
2022/02/15

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強迫性障害と診断された人の受診データ(最初に気になった症状・診療科)

最初に気になった症状

  • 不安18%
  • 確認強迫11%
  • 気持ちの落ち込み5%
  • 意欲の低下5%
  • 焦燥5%

受診した診療科

  • 精神科58%
  • 心療内科37%
  • 内科2%
  • 児童精神科2%
  • その他2%

受診して「強迫性障害」と診断されたと回答した人が、症状チェックを始めたときに最も気になる症状として選んだものと、受診した診療科のデータ(自己申告、2021年1月〜2026年9月)です。医師による記録ではなく、世の中全体の割合でもありません。

※%は回答した人に占める割合です。

※回答が1,000人以上ある症状・病名のデータに限って掲載しています。

ユビーで症状チェックしたあと、受診して「強迫性障害」と診断されたと回答した人(自己申告)が、最も気になる症状として選んでいたのは、不安(18%)、確認強迫(11%)、気持ちの落ち込み(5%)などでした。

受診した診療科は、精神科(58%)、心療内科(37%)、内科(2%)の順でした。

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強迫性障害とは

ささいなことと自覚していながらも、頭から離れない状態です。「出かける際に鍵をかけたか心配で、何度も確認する」「手の汚れが気になって、何度も洗ってしまう」ような事例がわかりやすいでしょう。

「強迫性障害」とはどのような病気ですか?

強迫性障害は、強迫観念、あるいは強迫行為といった強迫症状を特徴としています。

強迫症/強迫性障害は、一般人口の2~3%程度とされ、強迫観念、あるいは強迫行為といった強迫症状を特徴としています。

強迫観念とは、自分の意志とは関係なく、何度も頭の中に浮かんできてしまう考えやイメージのことです。

「これはおかしい」「考えないようにしよう」と思っても、どうしても気になってしまい、心がそのことでいっぱいになります。

強迫行為は、その考えや不安を和らげるために行う、繰り返しの行動や心の中での作業です。

例えば、「手が汚れている気がして、何度も手を洗ってしまう」や、「災いを避けるために何度も同じお祈りを心の中で唱える」といった行動がこれにあたります。

強迫症/強迫性障害は、頭から離れない考え(強迫観念)や、繰り返しの行動(強迫行為)が、どちらかひとつでもあれば診断されますが、多くの場合、両方がみられます。

さらに詳しく:「強迫性障害」とはどのような病気ですか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
もっと詳しく「強迫性障害」を知る

強迫性障害の症状

強迫性障害には初期症状はありますか?

初期症状として、日常生活の中で不安やこだわりが強くなり、何度確認しても安心できなくなったりします。

強迫症/強迫性障害の初期症状として、「ドアに鍵をかけたかな?」「ガスの火を消したかな?」と何度も不安になり確認を繰り返したり、ラッキーナンバーや縁起に強くこだわることがあります。

こうした不安やこだわりが度を超え、何度確認しても安心できなかったり、特定の数字へのこだわりが生活に支障をきたす場合、強迫症/強迫性障害の可能性があります。

さらに、「手が危険なウイルスで汚染されている」という強迫観念から、いつまでも手を洗い続けたり、肌荒れするほどアルコール消毒を繰り返したりすることもあります。

これらの行動が無意味で過剰だとわかっていても止められず、苦痛を感じている場合は、治療が必要であると言われています。

さらに詳しく:強迫性障害には初期症状はありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

強迫性障害ではどのような症状がありますか?

強迫性障害は、強迫観念、あるいは強迫行為といった強迫症状がみられます。

強迫症/強迫性障害の特徴的な症状は、強迫観念と強迫行為の2つです。

強迫観念とは、自分の意志とは関係なく、何度も頭の中に浮かんできてしまう考えやイメージのことです。

「これはおかしい」「考えないようにしよう」と思っても、どうしても気になってしまい、心がそのことでいっぱいになります。たいていの人において、それは強い不安や苦痛の原因となります。

強迫行為は、繰り返しの行動(確認する、順番に並べる)や、心の中での作業(数える、声を出さずに言葉を繰り返す)です。

例えば、「手が汚れている気がして、何度も手を洗ってしまう」や、「災いを避けるために何度も同じお祈りを心の中で唱える」といった行動がこれにあたります。

その行動は、不安または苦痛を避けるか緩和する、または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としていますが、明らかに過剰なことが多いです。

さらに詳しく:強迫性障害ではどのような症状がありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

強迫性障害にはどのような種類がありますか?

不潔恐怖、確認強迫、加害恐怖などさまざまなタイプがあります。

強迫性障害の症状は人によってさまざまですが、いくつかの代表的なタイプに分けられます。

不潔恐怖

汚れや細菌、化学物質などに汚染されることを極端に恐れ(強迫観念)、過剰な手洗いや入浴、物の洗浄、掃除などを繰り返す(強迫行為)タイプです。いわゆる「潔癖症」と関連が深いです。

確認強迫

鍵を閉めたか、ガスの元栓を閉めたか、電気を消したかなどを何度も確認しないと不安になるタイプです。確認しても安心できず、記憶に自信が持てなくなることもあります。

加害恐怖

自分の不注意や意図しない行動で、誰かを傷つけてしまうのではないか、重大な事故を起こすのではないかと恐れるタイプです。刃物や運転などを避けることがあります。

対称性・正確性の強迫

物の配置や向き、順番などが左右対称であったり、完璧に整っていないと強い不快感を感じ、並べ直したり配置し直したりする行為を繰り返します。

これらのほかにも、ためこみ、特定の数字や言葉にこだわる、宗教的に不適切なことを考えてしまうなど、さまざまな症状があります。ひとりの人が複数のタイプの症状を持つことも珍しくありません。

さらに詳しく:強迫性障害にはどのような種類がありますか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科
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強迫性障害の原因

強迫性障害の原因は何がありますか?

強迫性障害の原因は明らかになっていません。

強迫症/強迫性障害の原因はいまだ明らかにされていませんが、セロトニンという脳内の物質の調節がうまくいっていないことや、脳の特定の部分(感情や行動をコントロールする部分)が正常に働いていない可能性があると考えられています。

調査によると強迫症/強迫性障害の有病率は、一般人口の2~3%程度とされ、決してめずらしい病気ではありません。

また、強迫症/強迫性障害は、患者さんにとって、頭の中で考えがぐるぐると止まらず、不安にとらわれ続けたり、自分でもやめたいと思っている行動を繰り返してしまったりする、とてもつらい病気です。

このような状態に気づいたら、できるだけ早く治療を受けることが大切です。

さらに詳しく:強迫性障害の原因は何がありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
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強迫性障害の検査・診断

強迫性障害のセルフチェックはできますか?

解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。

強迫症/強迫性障害は、頭から離れない考え(強迫観念)や、繰り返しの行動(強迫行為)がどちらかひとつでもあれば診断されます。

そのため、以下のような症状が該当するかどうかによってセルフチェックも可能です。

強迫観念

「これはおかしい」「考えないようにしよう」と思っても、どうしても気になってしまい、心がそのことでいっぱいになる。
例えば、身体の汚れについての心配、何か怖いことが起こるのではないかという恐れ、正確さに対する欲求などです。

強迫行為

「手が汚れている気がして、何度も手を洗ってしまう」や、「鍵を閉め忘れたのではと確認のために何度も家に戻る」といった行動をしてしまう。

また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、強迫性障害かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。

さらに詳しく:強迫性障害のセルフチェックはできますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

強迫性障害の診断基準を教えてください。

頭から離れない考え(強迫観念)や、やめられない行動(強迫行為)で生活に支障が出ていること等です。

簡単に言うと、「自分でもおかしい、やりすぎだとわかっているけど、頭から離れない考え(強迫観念)が止まらず、それを打ち消すための行動(強迫行為)を繰り返してしまい、そのせいで時間も取られ、すごく苦しくて生活に困っている」状態が、強迫性障害の診断の目安になります。

強迫観念

「手が汚れている気がする」「何か悪いことが起こるのでは?」「物の配置がずれているのが許せない」といった考えが、自分では止めたいのに何度も頭に浮かんできて、とても不安になったり嫌な気持ちになったりすることです。

強迫行為

上のような強迫観念を打ち消したり、不安を和らげたりするために、やりすぎだとわかっていても止められない行動のことです。例えば、何度も手を洗う、ドアの鍵を何度も確認する、物をきっちり並べ直す、心の中で数を数える、などがあります。

これらの「強迫観念」や「強迫行為」に、毎日1時間以上など、たくさんの時間を使ってしまい、そのせいでとてもつらい気持ちになったり、仕事や学校、普段の生活(家事、友人関係など)がうまく送れなくなったりしている場合に、強迫性障害と診断されます。

さらに詳しく:強迫性障害の診断基準を教えてください。監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科
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強迫性障害の治療・対処法

強迫性障害への対処法は?

まずは心療内科もしくは精神科を受診します。行動認知療法で改善できない場合には、薬を使うこともあります。

強迫性障害の場合、主にどのような治療をしますか?

主に薬物療法と認知行動療法が行われます。

強迫症/強迫性障害の治療には、主に2つの方法があります。

ひとつは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」という薬を使った治療、もうひとつは「認知行動療法(CBT)」という、考え方や行動のクセを改善するための治療法です。

SSRIによる薬物療法だけでは効果が不十分な場合、他の向精神薬が併用されることもあります。

また、患者さんやその家族が病気の特徴や治療法、日常での対処法をしっかり理解することもとても大切です。

これにより、患者さんが治療に前向きになれたり、家族や周囲からのサポートを得やすくなり、治療がスムーズに進みます。

治療方法は、一人ひとりの症状や心の状態、他の病気の有無、治療への意欲、体調などを考えて選ぶ必要があります。

さらに詳しく:強迫性障害の場合、主にどのような治療をしますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

強迫性障害の認知行動療法について教えてください。

不安な考えや行動のクセに注目し、不安に慣れる練習で克服を目指す治療法です。

認知行動療法は、物事の受け取り方(認知)や行動のパターンに働きかけて、心のつらさを和らげる治療法です。

強迫性障害の治療では、特に「曝露反応妨害法」という方法が中心的に用いられます。

これは、まず「曝露(ばくろ)」といって、ご本人が不安を感じる特定の状況や考え(例えば、「汚れているかもしれない」と感じる物に触れる、戸締りや火の元から少し離れてみるなど)にあえて直面します。

次に「反応妨害」といって、その不安を打ち消すために普段行ってしまう強迫行為(例えば、何度も手を洗う、繰り返し確認するなど)を、専門家の指導のもとで意識的に我慢する練習をします。

初めは強い不安を感じるかもしれませんが、この練習を段階的に繰り返すことで、「不安な状況にいても、強迫行為をしなくても大丈夫だった」「不安な気持ちは時間とともに自然と和らいでいく」ということを体験的に学んでいきます。

これにより、強迫観念にとらわれることが減り、日常生活での困りごとが改善していくことを目指します。

この治療は、専門家(医師や心理師など)と相談しながら、計画的かつ安全に進めることが非常に重要です。

さらに詳しく:強迫性障害の認知行動療法について教えてください。監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科
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受診の目安・何科を受診するべきか

強迫性障害の名医の探し方を教えてください。

専門医資格の有無や、HPなどから治療経験を確認し、実際に受診して相性を確かめましょう。

強迫性障害の「名医」を探すのは簡単ではありませんが、いくつかの方法があります。まず、強迫性障害の治療に詳しい医師や医療機関を探すことが重要です。

  • 精神科専門医や精神保健指定医の資格を持っているか
  • 強迫性障害や認知行動療法を専門分野として挙げているか
  • 関連する分野の論文の執筆歴があるか

など、可能な範囲で確認しましょう。

また、患者会や自助グループに参加している人がいれば、経験に基づいた情報を得られる可能性もあります。

ただし、どんなに評判のよい医師でも、ご自身との相性が合うとは限りません。最終的には、実際に診察を受けてみて、医師の説明がわかりやすいか、質問しやすいか、治療方針に納得できるかなどを確かめることが大切です。

Ubieでは以下の「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。

さらに詳しく:強迫性障害の名医の探し方を教えてください。監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害の専門医がいる近くの病院はありますか?

強迫性障害の専門医がいる病院を見る
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強迫性障害の薬

強迫性障害の確認を2回までにするのは効果がありますか?

専門家と相談の上なら、不安と向き合う良い練習になる可能性があります。

強迫性障害の確認行為を「2回まで」と意識的に制限することは、治療法の一つである「曝露反応妨害法」の考え方に沿った取り組みと言えます。

この方法は、不安を感じる状況にあえて身を置き(曝露)、そこで行っていた過度な確認などの強迫行為を我慢する(反応妨害)練習です。

例えば、これまで10回確認しないと気が済まなかったところを、「今日は2回までにしてみよう」と目標を立てて実行することは、大きな一歩です。

この練習の目的は、「確認を減らしても、心配していたような悪いことは実際には起こらないこと」「不安な気持ちも、時間が経てば少しずつ和らいでいく」ということを体験的に学ぶことです。

自転車の練習で、最初は補助輪がないと不安でも、練習するうちにバランスが取れるようになるのに似ています。

ただし、この「2回まで」という回数が誰にでも適切とは限りませんし、自己判断で無理に進めると、かえって強い不安に襲われてしまい、治療が難しくなることもあります。

大切なのは、精神科医や心理師などの専門家とよく相談し、ご自身の状態に合った無理のない目標を一緒に設定し、専門家のサポートを受けながら段階的に進めていくことです。

専門家は、どのくらいの回数から始めるのが良いか、また、不安が強すぎるときはどうすれば良いかなど、具体的なアドバイスをしてくれます。

この練習は、薬物療法と組み合わせて行うこともあり、より効果的な場合があります。

一人で抱え込まず、専門家と一緒に取り組むことが、症状改善への確実な道筋となるでしょう。

さらに詳しく:強迫性障害の確認を2回までにするのは効果がありますか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

まず、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬が使用されます。

強迫症/強迫性障害の薬物療法では、まず選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬が使われます。

この薬には、フルボキサミンやパロキセチン、セルトラリンというものがあります。そして場合によっては三環系抗うつ薬であるクロミプラミンが用いられることもあります。

これらは、脳内のセロトニンという物質の働きを調整する効果があり、どの薬も同じくらい効果的とされていますが、三環系抗うつ薬は鎮静や口の渇き、便秘などの副作用や有害事象により注意する必要があります。

治療では、最初は少ない量から始めて、副作用や効果を確認しながら徐々に量を増やしていきます。そして、通常2~3ヶ月かけて薬が効いているかを評価します。

SSRIの特徴としては、従来の抗うつ薬よりも安全性が高いことが挙げられます。ただし、治療の初期には一時的に吐き気や不安感が強まることがあるので、注意が必要です。

さらに詳しく:強迫性障害は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
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対処法・セルフケア

強迫性障害で火事が怖い場合の対処法を教えてください。

専門家と相談の上、不安と向き合う練習や、薬物療法で症状を和らげます。

強迫性障害で火事が怖いというのは、よく見られる症状の一つです。

「火の元を何度も確認してしまう」「火事になったらどうしようと常に考えてしまう」といった強い不安や恐怖を感じることがあります。

このような症状への対処法として、まず専門家(精神科医や公認心理師など)に相談することが大切です。

主な治療法には「認知行動療法」があり、特に「曝露反応妨害法」という方法が効果的です。

これは、あえて火の元から少し離れてみるなど、不安を感じる状況に身を置きながらも、過度な確認(強迫行為)をしないように我慢する練習です。

最初はつらいかもしれませんが、専門家のサポートのもとで続けることで、「確認しなくても大丈夫だった」という経験を積み重ねることで、不安が和らいでいきます。

また、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの薬物療法も有効で、不安や強迫観念を軽減する効果が期待できます。

認知行動療法と併用することもあります。一人で悩まず、専門家と一緒に適切な対処法を見つけていきましょう。

さらに詳しく:強迫性障害で火事が怖い場合の対処法を教えてください。監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害に効果のある市販薬やサプリメントはありますか?

治療効果が科学的に証明された市販薬やサプリはなく、専門医への相談が重要です。

残念ながら、現時点では強迫性障害の治療に特化した効果が、科学的にしっかりと証明されている市販薬やサプリメントはありません。

強迫性障害は、脳の中の神経伝達物質のバランスの乱れなどが関わっていると考えられており、その治療には専門的なアプローチが必要です。

市販されている風邪薬や痛み止めのように、強迫性障害の症状そのものを直接改善する目的で作られた市販薬はありません。

また、サプリメントは、あくまで『食品』として扱われており、病気の治療を目的としたものではありません。

一部のサプリメントがリラックス効果や気分の安定をサポートすると宣伝されていることもありますが、強迫性障害に対する根本的な治療効果が、医学的に確認されているわけではありません。

自己判断で市販薬やサプリメントを使用することは、適切な治療を受ける機会を遅らせてしまう可能性があります。

また、他の薬との飲み合わせや予期せぬ副作用が出る可能性も、否定できません。

強迫性障害の症状で困っている場合は、必ず精神科や心療内科などの専門家に相談してください。

医師は、症状の程度や状態に合わせて、効果が認められている『認知行動療法』や『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』などによる治療を提案してくれます。

これらの治療法は、多くの研究でその有効性が確認されています。

さらに詳しく:強迫性障害に効果のある市販薬やサプリメントはありますか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害で車の運転が怖いときの治し方を教えてください。

専門家の治療を受けつつ、段階的に運転への不安に慣れていく練習が効果的です。

強迫性障害で車の運転が怖いと感じるのは、「運転中に人を轢いてしまうのではないか」「重大な事故を起こすのではないか」といった加害恐怖や、「ちゃんと安全確認ができただろうか」という確認強迫が原因であることが多いです。

この恐怖を克服するためには、精神科医などの専門家による治療が必要です。

例えば「曝露反応妨害法」という認知行動療法では、まず運転に対する不安を段階的にリストアップし、不安の少ない状況から少しずつ挑戦していきます。

最初は「車の助手席に乗る」、次に「近所の交通量の少ない道を短時間運転する」、慣れてきたら「少し交通量の多い道を運転する」といったように、ステップを踏んでいきます(曝露)。

そして、運転中や運転後に「人を轢いたかもしれない」「確認しに戻りたい」といった不安な考え(強迫観念)が浮かんでも、実際に引き返して確認したり、何度もニュースをチェックしたりする行動(強迫行為)を我慢する練習(反応妨害)をします。

これを繰り返すことで、「不安な考えが浮かんでも、実際には何も悪いことは起こらない」「確認しなくても大丈夫だ」ということを脳が学習し、徐々に運転への恐怖が和らいでいきます。

必要に応じて、抗うつ薬による薬物療法が併用されることもあります。

ひとりで無理に運転しようとせず、必ず専門家の指導のもとで、安全に配慮しながら焦らず取り組むことが大切です。

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強迫性障害で寝たくない場合の対処法を教えてください。

専門家と相談し治療を進めつつ、寝る前の不安を和らげる工夫や睡眠環境の改善を試してみましょう。

強迫性障害の方が「寝たくない」と感じる背景には、寝る前の確認行為が終わらない、寝ている間に何か悪いことが起こるのではという不安(強迫観念)、不潔感で布団に入れないなど、病気の症状が関係していることが多いと推測されます。

まず大切なのは、精神科医や臨床心理士などの専門家に相談し、強迫性障害自体の治療を進めることです。これにより、不安や強迫観念・強迫行為が和らぐことが期待できます。

それと並行して、寝る前の不安を軽くする工夫も有効です。例えば、

  • 寝る1〜2時間前からはスマホやパソコンを見ない
  • カフェインを避ける
  • ぬるめのお風呂に入る
  • 軽いストレッチをする
  • 好きな音楽を聴く

など、リラックスできる習慣を取り入れましょう。

また、寝室を暗く静かにし、毎日同じ時間に寝起きするなど、睡眠に適した環境(睡眠衛生)を整えることも大切です。

「眠れない」と焦らず、「横になっているだけでも体は休まる」と考えるようにし、どうしても眠れない場合は、一度布団から出てリラックスするのもよいでしょう。

ひとりで抱え込まず、専門家の助けを借りながら、できることから試してみてください。

さらに詳しく:強迫性障害で寝たくない場合の対処法を教えてください。監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害の場合、日常生活で気をつけることはありますか?

規則正しい生活や十分な睡眠、外出を心がけることが大切です。

強迫症/強迫性障害は、引きこもったり生活リズムが乱れることで悪化しやすいと言われています。

そのため、規則正しい生活や十分な睡眠、外出を心がけることが大切です。もし可能なら、学校や仕事などの社会的な関わりも続けることが有効です。

OCDにすべての時間やエネルギーを注ぎ込むと、病気がさらに悪化しやすくなります。

また、不眠はコントロールや判断力を低下させる原因になるため、十分な注意が必要です。

気になる症状がある場合は、そのままにせず医療機関を受診しましょう。

さらに詳しく:強迫性障害の場合、日常生活で気をつけることはありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
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強迫性障害に関連するその他の質問

強迫性障害で指の皮をむしってしまう場合の止め方を教えてください。

専門家の治療を受けつつ、むしる代わりの行動を見つけ、ストレスを減らす工夫などが有効だと考えられます。

強迫性障害の症状として、あるいは関連する皮膚むしり症のひとつとして、指の皮をむしる行為がみられることがあります。

これは、不安や緊張、退屈などを感じたときに、それを和らげるために無意識的あるいは意図的に行ってしまうことが多いです。

止めるためには、まず精神科医や臨床心理士などの専門家に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

例えば、「習慣逆転法(HRT)」では、

  • ①自分がいつ、どのような状況で皮をむしっているかに気づく練習(自己モニタリング)
  • ②むしりたくなったら、代わりに手を強く握る、指を揉むなど、むしる行為と両立しない別の行動(拮抗反応)をとる練習
  • ③むしるきっかけになる状況を避けたり、手袋をしたりする工夫(刺激コントロール)

などを組み合わせて行います。

また、指先を使う他の健全な行動(ストレスボールを握る、編み物、お絵描きなど)を見つけて、むしりたい衝動をそらすことも助けになります。

指に絆創膏を貼ったり、保湿クリームを塗って皮膚の状態をよくしたりすることも、むしるきっかけを減らすのに役立ちます。

さらに、皮むしりはストレスや不安と関連が深いため、深呼吸や軽い運動、趣味の時間などでリラックスする方法を見つけることも大切です。

ひとりで悩まず、専門家のサポートを受けながら取り組んでいきましょう。

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強迫性障害でお風呂やトイレの時間が長くなる場合はどうすればいいですか?

専門家と相談し、不安と向き合い行動を変える練習や、薬物療法で改善を目指します。

強迫性障害でお風呂やトイレの時間が長くなってしまうのは、「まだ汚れている気がする」「きちんと洗えていないと何か悪いことが起こるのではないか」といった強い不安(強迫観念)に駆られ、何度も体を洗い直したり、長時間こもってしまったりする行動(強迫行為)がやめられないためです。

これはご本人にとって非常につらい状況です。このような症状を改善するためには、まず精神科医や心理師などの専門家に相談することがとても大切です。

主な治療法として「認知行動療法」があり、特に「曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)」という練習が効果的とされています。

これは、例えば「お風呂の時間をいつもより5分短くする」「トイレでの確認行為(何度も拭く、水を流すなど)の回数を1回減らす」といった具体的な目標を専門家と一緒に立て、不安を感じても、あえてその行動(過剰な洗浄や長時間の滞在)を我慢する練習です。

最初はとても不安で難しいかもしれませんが、専門家のサポートを受けながら少しずつ慣らしていくことで、「思ったほど汚れていなかった」「何も悪いことは起きなかった」という経験を積み重ね、徐々に不安や強迫行為を減らしていくことを目指します。

また、症状の程度や状態によっては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)といったお薬を使うことで、不安感を和らげ、認知行動療法に取り組みやすくすることもあります。

ご自身だけで解決しようとせず、専門家の力を借りながら、焦らず一歩ずつ取り組んでいくことが改善への近道です。

ご家族にも状況を理解してもらい、治療への協力を得ることも大きな助けになるでしょう。

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強迫性障害にカウンセリングは有効ですか?

認知行動療法を中心としたカウンセリングは、強迫性障害の治療に有効な方法のひとつです。

強迫性障害の治療において、カウンセリング、特に「認知行動療法」と呼ばれるアプローチは非常に有効とされています。

認知行動療法は、その人の考え方(認知)や行動のパターンに注目し、それらを変えていくことで心のつらさを和らげる治療法です。

強迫性障害に対しては、認知行動療法の中でも特に「曝露反応妨害法」という技法が効果的です。

これは、不安を感じる特定の状況や考え(例えば、汚れていると感じるものに触れる、鍵を確認したい気持ちなど)に、あえて少しずつ直面し(曝露)、その不安を打ち消すために行っていた過剰な手洗いや確認などの強迫行為をしないように我慢する(反応妨害)練習を繰り返す方法です。

これにより、不安な状況や考えに慣れ、強迫行為をしなくても大丈夫だということを脳が学習していきます。

カウンセリングでは、こうした専門的な技法を用いるだけでなく、臨床心理士や公認心理師などのカウンセラーが、ご本人のつらい気持ちに寄り添い、話を聞き、病気への理解を深める手助けをします。

また、不安への対処法を一緒に考えたり、治療を続ける上での支えになったりする役割も担います。多くの場合、精神科医による薬物療法とカウンセリングを組み合わせることで、より高い治療効果が期待できます。

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強迫性障害の人が治るきっかけはどんなものがありますか?

薬物療法や認知行動療法といった専門家の治療を受けることが、治るきっかけとしては最も確実です。

治るきっかけとして最も可能性が高いものは、精神科医や臨床心理士などの専門家による適切な治療を受けることです。

例えば「曝露反応妨害法」という認知行動療法の一種などが効果的とされています。

これは、不安を感じる状況にあえて身を置き(曝露)、強迫行為を我慢する(反応妨害)練習を繰り返すことで、不安や強迫観念に慣れていく治療法です。また、抗うつ薬による薬物療法も有効な場合があります。

治療と並行して、ご本人が「よくなりたい」と強く思うことや、病気について正しく理解し、自分の症状と向き合おうとすることも大切なきっかけになります。

さらに、家族や友人など、周りの人が病気を理解し、焦らず温かくサポートすることも、ご本人が安心して治療に取り組むための大きな助けとなります。これらの要因が組み合わさることで、症状の改善につながることが多いです。

さらに詳しく:強迫性障害の人が治るきっかけはどんなものがありますか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害と不安障害の違いを教えてください。

強迫性障害は特定の考えと行動の繰り返し、不安障害は様々な状況への過度な心配が特徴です。

強迫性障害と不安障害は、どちらも「不安」が主な症状として現れる病気ですが、その特徴には違いがあります。

強迫性障害(OCD)は、自分でも「ばかばかしい」「やりすぎだ」とわかっているのに、頭から離れない不快な考え(強迫観念)と、その不安を打ち消すために特定の行動(強迫行為)を繰り返さずにはいられなくなる病気です。

例えば、「手が汚れているかもしれない」という強迫観念から、何時間も手を洗い続けてしまう(強迫行為)といった例があります。この「特定の考え」と「それを打ち消すための儀式的行動」のセットが特徴です。

一方、不安障害は、日常生活に支障が出るほどの強い不安や恐怖を感じる病気の総称で、いくつかの種類があります。

例えば、人前で話すことに極度の緊張を感じる「社交不安障害」、突然強い不安発作(パニック発作)が起き、再び発作が起こることへの不安が続く「パニック障害」、様々なことに対して過剰に心配し続ける「全般不安障害」などです。

これらの不安障害では、強迫性障害のような特定の儀式的行為は必ずしも伴いませんが、不安を感じる状況を避けようとする行動(回避行動)が見られることがよくあります。

以前は強迫性障害も不安障害の一種と考えられていましたが、現在は少し異なるグループの病気として分類されることがあります。どちらの病気も専門家による適切な診断と治療が大切です。

さらに詳しく:強迫性障害と不安障害の違いを教えてください。監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害は障害者手帳を取得できますか?

症状の程度や日常生活への支障度により、精神障害者保健福祉手帳の対象となる場合があります。

強迫性障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象となる精神疾患のひとつです。ただし、診断されたからといって必ず手帳が取得できるわけではありません。

手帳を取得できるかどうかは、強迫観念や強迫行為といった症状によって、日常生活(食事、入浴、金銭管理など)や社会生活(学業、仕事、人付き合いなど)にどれくらいの期間、どの程度の支障が出ているかによって判断されます。

具体的には、初めて精神科を受診した日(初診日)から6ヶ月以上経過しており、日常生活や社会生活への制約が続いている場合に申請が可能です。

申請には、主治医(精神科医)が作成した診断書が必要となり、その内容をもとに審査が行われ、障害の程度に応じて1級から3級の等級が判定されます。

等級が認定されると手帳が交付され、税金の控除や公共料金の割引、福祉サービスなどの支援を受けられるようになります。

取得を希望する場合は、まず主治医に相談し、ご自身の状況が手帳の基準に該当するかどうか、申請手続きについて確認してみましょう。申請窓口はお住まいの市区町村の障害福祉担当課などになります。

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強迫性障害の人の割合は何人に一人ですか?

約100人に1〜2人程度と言われ、決して珍しい病気ではありません。

強迫性障害は、特別な人がかかるまれな病気というわけではありません。

さまざまな調査や研究がありますが、一般的に、一生のうちで一度でも強迫性障害を経験する人の割合(これを生涯有病率といいます)は、およそ100人に1人から2人程度(人口の1~2%)と報告されています。

発症する年齢は、10代後半から20代前半の思春期や青年期が多いとされていますが、もっと幼い子どもや、成人してから初めて症状が出る人もいます。

男女で発症のしやすさに大きな違いはないと考えられています。

ただし、これらの数字はあくまで医療機関などで診断されたり、調査で把握されたりした数です。

実際には、症状に悩んでいても「これは性格の問題だ」「恥ずかしくて誰にも言えない」などと考えて、専門機関に相談していない人もいると考えられています。

そのため、実際にはもっと多くの人が強迫性障害の症状で困っている可能性も指摘されています。

もしご自身や周りの人で気になることがあれば、早めに専門家に相談することが大切です。

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強迫性障害でお金を払ったか不安になる場合はどうすればいいですか?

専門家と相談し、確認したい気持ちと向き合う練習や、薬物療法で改善を目指します。

強迫性障害で「お金を払ったかどうか不安になる」というのは、支払いに関する確認行為がやめられない症状の一つです。

「本当に払ったかな?」「もし払っていなかったらどうしよう」といった強い不安(強迫観念)に襲われ、何度もレシートを確認したり、お店の人に聞き返したり、自分の記憶を必死で辿ったりする行動(強迫行為)を繰り返してしまうことがあります。

このような症状への対処法として、まずは精神科医や心理師などの専門家に相談することが非常に大切です。

主な治療法には「認知行動療法」があり、特に「曝露反応妨害法」が有効です。

これは、例えば「支払いを済ませた後、すぐにレシートを確認せずに少し我慢してみる」「店員さんに『払いましたよね?』と何度も聞くのを1回減らしてみる」といったように、あえて不安を感じる状況を作り、そこで確認したい衝動を抑える練習です。

専門家の指導のもとで段階的に行うことで、「確認しなくても大丈夫だった」「不安は時間とともに薄れる」という経験を積み、徐々に不安や確認行為を減らしていきます。

また、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などのお薬を使うことで、不安感を和らげ、認知行動療法に取り組みやすくすることもあります。

一人で悩まず、専門家と一緒に適切な対処法を見つけていくことが改善への道です。

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強迫性障害の重症度はどのようにチェックすればいいですか?

専門医の診察が基本ですが、症状に費やす時間や日常生活への支障の大きさで目安を知ることができます。

強迫性障害の重症度を正確に評価するには、精神科医などの専門家による診察が必要です。

医師は、患者さんの話を聞きながら、強迫観念(頭から離れない考え)や強迫行為(繰り返してしまう行動)がどのくらいの頻度で起こり、どれくらいの時間を費やし、どれほどの苦痛を感じているか、そして日常生活(学業、仕事、家事、対人関係など)にどの程度支障が出ているかを総合的に判断します。

ご自身で重症度の目安を知りたい場合は、

  • 1日のうち、強迫観念や強迫行為にとらわれている時間はどれくらいか?(例:1時間未満、1〜3時間、3時間以上など)
  • そのことでどれくらいつらいと感じるか?
  • 学校や仕事に行けない、家事ができない、友達と会えないなど、やりたいことややるべきことが、症状のせいでどれくらいできなくなっているか?

などを考えてみるとよいでしょう。これらの時間や苦痛、支障が大きいほど、重症度が高いと考えられます。

ただし、これはあくまで目安であり、正確な判断のためには必ず専門機関を受診してください。

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強迫性障害と潔癖症の違いを教えてください。

潔癖症は強迫性障害の症状のひとつ(不潔恐怖)であり、強迫性障害はより広い概念です。

「潔癖症」は、一般的に汚れや細菌などを過度に恐れ、手洗いや掃除などを繰り返してしまう状態を指す言葉ですが、これは精神医学の正式な病名ではありません。多くの場合、精神疾患である「強迫性障害」の症状のひとつである「不潔恐怖」のことを指しています。

強迫性障害は、「不潔恐怖」以外にも、

  • 鍵を閉めたか何度も確認する「確認強迫」
  • 誰かを傷つけてしまうのではないかと恐れる「加害恐怖」
  • 物の配置にこだわる「対称性・正確性の強迫」

など、さまざまなタイプの症状があります。つまり、強迫性障害という大きな病気のカテゴリーの中に、潔癖症(不潔恐怖)が含まれるイメージです。

単にきれい好きであることや衛生観念が高いこと(性格としての潔癖)と、強迫性障害による潔癖症は異なります。

強迫性障害の場合は、汚れに対する不安(強迫観念)が非常に強く、それを打ち消すための手洗いや掃除(強迫行為)をやめられず、自分でも「やりすぎだ」とわかっていてもコントロールできずに苦痛を感じ、日常生活(学業、仕事、人間関係など)に大きな支障が出ている状態を指します。

さらに詳しく:強迫性障害と潔癖症の違いを教えてください。監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害の加害恐怖にはどのように対処すればいいですか?

専門家の治療を受けたうえで、不安な行動を過度に避けない練習などが有効だと考えられます。

加害恐怖は、強迫性障害の症状のひとつで、「自分が意図せず誰かを傷つけてしまうのではないか」「何か重大な過ちを犯してしまうのではないか」という強い不安(強迫観念)に襲われる状態です。

例えば、「運転中に人を轢いたかもしれない」「刃物で家族を傷つけてしまうかもしれない」といった考えが頭から離れなくなります。

この恐怖に対処する最も効果的な方法は、精神科医や臨床心理士などの専門家による治療を受けることです。例えば「曝露反応妨害法」という認知行動療法などが有効です。

これは、不安を感じる考えや状況(例えば、ニュースを見る、刃物をそばに置くなど)にあえて直面し(曝露)、その不安を打ち消すための確認行為(何度も人に確認する、ニュースを繰り返し見る、特定の場所や物を避けるなど)をしないように我慢する(反応妨害)練習です。

これを繰り返すことで、不安な考えが浮かんでも、それは「考え」であって「現実の行動」ではないこと、そして確認しなくても実際には何も起こらないことを脳が学んでいきます。

大切なのは、「怖い考えが浮かぶこと」と「実際に危害を加えること」は、まったく別だと理解することです。加害恐怖を持つ人が実際に誰かを傷つけることは極めてまれです。

ひとりで抱え込まず、専門家と相談しながら、焦らず治療に取り組むことが重要です。

さらに詳しく:強迫性障害の加害恐怖にはどのように対処すればいいですか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害を気にしない方法はありますか?

認知行動療法が有効です。

強迫症/強迫性障害を気にしないための具体的方法として、以下のアプローチがあります。

1. 曝露反応妨害法

不安を引き起こす状況に直面し、不安が和らぐまでその状況に慣れていく方法です。
また、不安を軽減するために行っている強迫行為を我慢することで、徐々に不安に対処する力をつけることが推奨されています 。

2. 日常生活の安定

規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動を心がけることで、ストレスを軽減することが重要です。

さらに詳しく:強迫性障害を気にしない方法はありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

強迫性障害について母親が原因のひとつと考えられるのは、どのような場合ですか?

妊娠中の母親によるカフェインやアルコールの過剰摂取、喫煙が関係する可能性があります。

強迫症/強迫性障害の原因については、遺伝的および環境的リスク要因がどのように相互作用して、多様な表現型がもたらされるのかというメカニズムの理解は、依然としてほとんど不明です。

海外の研究では、母親側の因子が強迫性障害の発生に関係することが示唆されています。

例えば、母体の炎症や免疫にかかわる病気、母親の喫煙が強迫症/強迫性障害の発症と関連するという説があります。

ただし、強迫症/強迫性障害の原因は、いまだ明らかになっていません。

さらに詳しく:強迫性障害について母親が原因のひとつと考えられるのは、どのような場合ですか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

強迫性障害の場合、記憶に自信がないのはなぜですか?

繰り返す強迫行為が逆に、記憶への自信を失わせることが考えられます。

強迫性障害の方が記憶に自信を持てなくなるのは、特に「確認強迫」と深く関わっています。

例えば、「鍵を閉めたか」「火を消したか」などが不安になり(強迫観念)、それを打ち消すために何度も確認する(強迫行為)ことがあります。

通常、私たちは何かを確認すると「大丈夫だ」と安心し、その記憶に自信を持ちます。しかし、強迫性障害の場合、確認行為を繰り返せば繰り返すほど、「本当にちゃんと確認しただろうか?」「見落としはなかったか?」といった新たな疑念や不安が湧き上がってきてしまうのです。

これは、確認という行為自体が、自分の記憶や感覚に対する信頼感を逆に低下させてしまうためと考えられています。専門的には「メタ記憶(自分の記憶が正しいかどうかを判断する能力)」が、繰り返しの確認によって低下すると言われています。

治療を通じて強迫観念や強迫行為が減ることで、記憶への自信も回復していくことが期待できます。

さらに詳しく:強迫性障害の場合、記憶に自信がないのはなぜですか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害は自力で克服できますか?

正しい知識と工夫で改善の可能性はありますが、早めに専門家に相談することをおすすめします。

自力で克服しようと試みる場合、まずは病気について正しく理解することが大切です。

認知行動療法のひとつである「曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)」という治療法の考え方を学び、不安な状況にあえて身を置き、強迫行為を我慢する練習を少しずつ行うことも考えられますが、専門家の指導なしでは難しく、かえって症状を悪化させる危険もあります。

症状が軽い場合や、正しい知識に基づいて工夫すれば改善することもありますが、一般的には精神科医などの専門家に相談し、適切な診断と治療(薬物療法や専門的な認知行動療法など)を受けることが、回復への最も確実で安全な方法とされています。

さらに詳しく:強迫性障害は自力で克服できますか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害とHSPは関係しますか?

HSPは正式な診断名や疾患名ではないので、関係性について深く考える必要性は低いかもしれません。

HSP(Highly Sensitive Person)は一般的に、生まれつき感覚が鋭敏で、さまざまな刺激に気づきやすく、深く物事を考えたり、人の気持ちに共感しやすかったりする「気質」のことを指す言葉であり、正式な診断名や疾患名ではありません。

一方、強迫性障害は、強い不安(強迫観念)とそれを打ち消すための行為(強迫行為)を繰り返してしまう精神疾患です。

この2つはまったく別のものですが、"HSP"と言われている人々の持つ「敏感さ」が、強迫性障害の症状に影響を与える可能性は否定できません。

ただし、そもそもHSPという概念自体が確立されているとは言い難いことから、関係性について深く考えることの意味はあまりないかもしれません。

さらに詳しく:強迫性障害とHSPは関係しますか?監修医師山﨑 龍一こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

強迫性障害になりやすい人の特徴はありますか?

責任感が強い、完璧主義、こだわりが強いなど性格的な特徴があります。

強迫症/強迫性障害になりやすい人についての研究がありますが、特徴のある方がすべて強迫性障害になるわけではありませんし、これらの特徴がなくても強迫性障害となる方もいらっしゃいます。

1. 責任感が強い

「自分がミスをすると大変なことになる」といった、自分が失敗したり誰かに迷惑をかけたりすることへの不安が強くなる。

2. 完璧主義

「絶対に完璧にしなければならない」「不確かなことがあると不安で落ち着けない」という感覚。

3. こだわりが強い

「頭に浮かんだことは重要だ」「考えをしっかりコントロールしなければいけない」と感じる。

また、これらの考えに加えて、慢性的な不安が強迫症/強迫性障害の発症や症状の持続に影響しているとも考えられています。

この不安は、問題が解決していないと感じる限り、行動を繰り返させる一因になっています。

また、併存する病気として、うつ病、社交不安症、全般不安症、チックなどがあると言われています。

さらに詳しく:強迫性障害になりやすい人の特徴はありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
もっと詳しく「強迫性障害」を知る

強迫性障害について、医師からのよくある質問

医師からよくある質問はありますか?

「強迫性障害」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。

  • わかってはいるがどうしてもやめられない行動がありますか?
  • 戸締まりやガス栓などを何度も確認してしまいますか?
  • 日常的に不安な感じがありますか?
  • 普段は気にならない些細な事に敏感な状態ですか?
  • 不安や心配が治まらず、とめどなく出てきますか?

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この記事の監修医師

監修医師 阿部 吉倫

阿部 吉倫

内科

2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。

更新日
2026/10/27
公開日
2022/02/15