熱中症
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/06/15
- 公開日
- 2020/09/03
「熱中症」とは、温気温や湿度が高いところで長時間過ごすことで体温が上がってしまい、さまざまな症状をきたす病気のことです。特に夏のはじめは、身体がまだ暑さに慣れていないことや、マスク着用で熱がこもりやすいため、熱中症には注意が必要です。
熱中症とは
高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。症状は重症度によって様々で、めまいや多量の発汗、筋肉痛のような軽度のものから、痙攣、意識障害のような重症のものまで様々です。
熱中症対策のクーリングシェルターとはなんですか?
夏の暑さをしのぐための一時的な避難場所です。冷房の効いた公共施設などで、誰でも無料で休憩できます。
クーリングシェルターとは、夏の厳しい暑さから人々を守るために、自治体などが一時的な避難場所として開放している施設のことです。具体的には、冷房が効いている市役所、公民館、図書館などの公共施設や、協力してくれるスーパーやドラッグストアなどの民間施設が指定されています。
誰でも無料で利用することができ、外出中に気分が悪くなった時や、自宅に冷房がない場合などに、涼しい場所で休憩して体調を整えることができます。熱中症による健康被害を未然に防ぐための社会的な取り組みのひとつで、お住まいの地域のどこにあるか、事前に確認しておくと安心です。
室内熱中症とはなんですか?
風通しの悪い室内で起こる熱中症です。高齢者や子どもは特に注意し、エアコンなどを適切に使用してください。
室内熱中症とは、その名の通り、屋外ではなく家の中や学校、体育館といった室内で起こる熱中症のことです。特に、風通しが悪く湿度が高い環境では、室温がそれほど高くなくても発症しやすくなります。自分では気づかないうちに、体から水分が失われ、体内に熱がこもってしまうのです。
特に、体温調節機能が低下している高齢者や、暑さをうまく訴えられない乳幼児は、室内でも重症化する危険性が高いため注意が必要です。予防のためには、我慢せずにエアコンや扇風機を適切に使用し、室温や湿度を快適に保つことが大切です。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症対応マニュアルとは何ですか?
熱中症の予防と発生時の対応を一般の方向けにまとめたマニュアルです。
熱中症対応マニュアルとは、熱中症を予防し、発生してしまった場合に適切に対応するための手順をまとめたものです。
気温や湿度といった環境条件に応じた活動の目安や、こまめな水分補給の呼びかけなど、事前の対策がまず大切です。
もし熱中症が疑われる症状が出た場合には、涼しい場所へ移動させ、衣服をゆるめて体を冷やし、水分・塩分を補給するといった具体的な応急手当の方法が示されています。
さらに、意識がないなど重症の場合に備えて、救急車を呼ぶ判断基準や、救急隊が到着するまでの対応なども定められており、学校や職場など、集団生活の場で安全を確保するために活用されています。
熱中症ガイドラインとは何ですか?
日本救急医学会が医療者向けに作成した熱中症治療の指針です。
熱中症ガイドラインは、日本救急医学会が作成した、熱中症に関する科学的根拠に基づいた治療指針です。
医療従事者に向けて、熱中症を正しく理解し、適切に対応するために作られました。
その中には、熱中症の予防法、症状の見分け方、重症度の分類、そして現場での応急手当から専門的な治療法までが詳しく解説されています。
このガイドラインは、熱中症による死亡者や重症者を一人でも減らすことを目的としており、最新の研究成果を反映して定期的に内容が更新されています。
「高温注意情報」とはなんですか?
高温注意情報は以前の気温による情報で、現在はより的確な熱中症警戒アラートに変わりました。
「高温注意情報」は、以前、気象庁が最高気温がおおむね35℃以上になると予想される場合に発表していた情報です。主な目的は、熱中症への注意を広く呼びかけることでした。
しかし、熱中症のリスクは気温だけでなく、湿度なども大きく関係することから、2021年からは、より総合的な指標である「暑さ指数(WBGT)」を用いた「熱中症警戒アラート」に一本化され、現在「高温注意情報」は発表されていません。
気温だけを基準にしていた「高温注意情報」に比べ、「熱中症警戒アラート」は、より危険な状況を的確に伝え、人々の具体的な予防行動につなげることを目指した、一段階上の警戒を促す情報と言えます。
「熱中症指数」とはなんですか?
熱中症指数は気温や湿度などから熱中症の危険度を示し、外出や運動を判断する予防行動の目安となるものです。
「熱中症指数」とは、一般的に「暑さ指数(WBGT)」と同じものを指す言葉として使われています。これは、熱中症のリスクがどのくらい高いかを、客観的な数値で示した指標です。
気温だけでなく、湿度や日射などの要素を組み合わせて計算されるため、実際の人の体感に近い危険度を表すことができます。
この指数を確認することで、その日の環境が熱中症を引き起こしやすいかどうかを判断し、「外出を控える」「運動を中止する」「こまめに休憩や水分補給を行う」といった、具体的な予防行動をとるための目安になります。
環境省のウェブサイトなどで、地域ごとの現在の指数や今後の予測が公開されています。
「暑さ指数(WBGT)」とはなんですか?
暑さ指数は気温・湿度・日射などから熱中症の危険度を示す指標で、予防の判断材料として活用されています。
暑さ指数(WBGT)は、熱中症を予防するために考案された、人体の熱収支に影響の大きい「気温」「湿度」「日射・輻射熱(地面や建物からの照り返し)など周辺の熱環境」の3つを取り入れた指標です。
単なる気温計の数値とは異なり、体感的な暑さや熱中症の危険度を、より正確に表すとされています。例えば、同じ気温でも湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体から熱が逃げにくくなるため、暑さ指数は高くなります。
この指数をもとに、日常生活やスポーツ活動、仕事などの場面で、どの程度の注意や対策が必要かの目安が示されており、熱中症予防のための重要な判断材料として活用されています。
「熱中症警戒アラート」とはなんですか?
熱中症の危険性が高くなると予測された際に発表される情報です。
熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性が高くなると予測された際に発表される情報です。これは、私たちの命や健康を守るための特別な呼びかけと考えることができます。
具体的には、気温だけでなく湿度や日差しなども考慮した「暑さ指数(WBGT)」が、人体にとって特に危険なレベル(原則33以上)に達すると予測された場合に発表されます。
このアラートが出された日は、こまめな休憩や水分補給、室内ではためらわずにエアコンを使用するなど、普段以上の熱中症対策を徹底することが強く求められます。自分だけでなく、周りの高齢者や子どもにも気を配るよう促す重要な情報です。
熱中症とはどのような病気ですか?
気温や湿度が高いところで長時間過ごすことで体温が上がってしまい、さまざまな症状をきたす病気です。
温度や湿度が高い環境に長い時間いたり、その環境下で休みなく運動したりすると、体温の調節がきかなくなって高温のままになってしまうことがあります。
この状態を原因として発症する諸症状のことを熱中症といいます。
高齢の人や持病のある人は重症化しやすいので、熱中症を起こさないようにあらかじめ対策することが重要です。
熱中症の症状
軽い熱中症とはどの程度の症状ですか?
立ちくらみやめまいなどの症状がみられます。
一般的に「軽い熱中症」と呼ばれるのは、専門的な重症度分類で「Ⅰ度」にあたる状態です。
この段階では意識ははっきりしており、現場での応急手当で回復が見込めます。
具体的な症状としては、立ち上がった瞬間にくらっとする「立ちくらみ」や「めまい」が挙げられます。
また、汗をたくさんかいた後に、ふくらはぎなどに痛みを伴う症状がみられた場合もこの段階の症状です。
これらは体が発している「このままでは危険だ」という初期のサインです。
このサインを見逃さず、すぐに涼しい場所へ移動して休み、水分と塩分をしっかり補給することが、重症化を防ぐために非常に大切です。
しかし、それでも改善が見込めない場合は、医療機関を受診することも重要です。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
熱中症の症状に筋肉痛はありますか?
汗で塩分が失われると「熱けいれん」が起こり、こむら返りのような筋肉の痛みとして現れることがあります。
熱中症の症状として筋肉の痛みやけいれんが起こることがあります。これは「熱けいれん」と呼ばれ、熱中症の初期段階(Ⅰ度)の代表的な症状の一つです。大量に汗をかくと、水分と同時に体内の電解質も失われます。
この状態で水だけを飲むと、血液中の電解質の濃度がさらに低下し、筋肉が異常に収縮して、こむら返りのような強い痛みやけいれんを引き起こします。ふくらはぎや腕、お腹の筋肉などに起こりやすく、筋肉痛のように感じられることがあります。汗をたくさんかいた時は、水分だけでなく塩分も一緒に補給することが大切です。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症の症状が時間差で現れることはありますか?
時間が経ってから症状が出ることがあります。暑い場所にいたあとは、こまめな水分補給と休息を心がけてください。
熱中症の症状は、暑い環境にいたその時だけでなく、時間差で現れることがあります。例えば、日中に屋外でスポーツや作業をしたあと、数時間経った夕方や夜になってから、頭痛、吐き気、めまい、倦怠感といった症状が出てくるケースです。
これは、本人が気づかないうちに、脱水がゆっくりと進行した結果です。そのため、暑い場所で過ごしたあとは、特に症状を感じなくても、涼しい場所で十分に休息をとり、こまめに水分と塩分を補給しておくことが、時間差で起こる熱中症の予防につながります。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症の症状の「熱痙攣(ねつけいれん)」とは何ですか?
熱中症の初期段階で見られる症状の一つです。
熱けいれんは、熱中症の初期段階(重症度Ⅰ度)で見られる症状の一つです。
運動や作業でたくさん汗をかいた後、塩分を補給せずに水やお茶だけを大量に飲んだ時に起こりやすくなります。
汗からは水分と同時に塩分(ナトリウム)も失われますが、水だけを飲むと血液中の塩分濃度が薄まってしまいます。
すると、筋肉の正常な収縮を調整しているミネラルのバランスが崩れ、自分の意思とは関係なく筋肉が硬直し、痛みを伴うけいれんを引き起こします。
ふくらはぎに起こる「こむら返り」が代表的ですが、腕やお腹の筋肉に起こることもあります。
この場合は、スポーツドリンクや経口補水液で、失われた水分と塩分を速やかに補給することが適切な対処法です。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
熱中症と症状が似ている他の病気はありますか?
重症時に見られる意識障害や痙攣(けいれん)は、髄膜炎や脳炎などの病気によっても起こることがあります。
熱中症の重症時に見られる意識障害や痙攣は、たとえば髄膜炎や脳炎といった脳脊髄の感染症、脳出血や脳梗塞などの病気でも認められるものです。
また脳の病気以外にも、血中のアンモニア量の急激な増加、電解質(ミネラル)のバランスのくずれ、薬物の作用など、意識障害や痙攣はさまざまな原因で起こりえます。
正確な原因は検査をしないとわからないことが多いため、必ず医療機関を受診しましょう。
熱中症ではどのような症状が見られますか?初期症状はありますか?
初期症状として、めまいや顔のほてり、ふらつき、頭痛などが見られます。重症になると意識障害などが生じます。
熱中症の重症度は、症状が軽い順にI度、II度、III度に分けられ、徐々に重症度が進行します。
I度では、以下のような症状が見られます。
- めまい
- 立ちくらみ
- 生あくび
- 大量の発汗
- 筋肉痛
- こむら返り(足などがつること)
II度では、以下のような症状が見られます。
- 頭痛
- 嘔吐
- 倦怠感
- 軽度の意識障害(集中力の低下など)
III度では、以下のような症状が見られます。
- 重度の意識障害(意識がもうろうとしている、意識がないなど)
- 痙攣(けいれん)
- 肝臓や腎臓の障害
- DIC(血液の凝固機能が異常をきたし、血栓ができやすくなった状態)
熱中症の原因
熱中症が原因で蕁麻疹が出ることはありますか?
熱中症の直接症状ではありませんが、汗や体温上昇が刺激となり、蕁麻疹が出ることがあります。
熱中症の直接的な症状として、蕁麻疹が出ることはまれですが、関連して皮膚にトラブルが起こることはあります。
例えば、大量の汗をかくことで、汗の通り道である汗管が詰まり、炎症を起こして「あせも(汗疹)」ができることがあります。これがかゆみを伴い、蕁麻疹のように見える場合があります。
また、体質によっては、急激な体温の上昇自体が刺激となって、蕁麻疹が起きる人もいます。これらは熱中症そのものではなく、高温や発汗という環境が引き金となる皮膚の症状と考えられます。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症が原因で眠気が起こることはありますか?
熱中症が原因でも眠気が起こることがあります。
熱中症が原因で、強い眠気やだるさを感じることがあります。
熱中症の症状は重症度によって異なりますが、特に重症例では中枢神経系の障害がみられることがあり、初期症状として混乱、めまい、脱力、さらには眠気(傾眠)や昏睡などの意識レベル低下がみられます。そのため、呼びかけに対する反応が鈍い、意識がはっきりしないといった状態は、重症化の兆候であり、非常に危険です。
少しでも異常を感じたら、応急処置(涼しい場所への移動、衣服を緩めるなど)を開始することが大切です。症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症が原因で体に障害が残ることはありますか?
重症の熱中症の場合は体に深刻な障害(後遺症)が残ることがあります。
熱中症が原因で体に深刻な障害(後遺症)が残ることがあります。
特に、最も重症なⅣ度の熱中症になった場合に起こるリスクが高いです。
IV度の熱中症とは深部体温が40℃以上にまで上昇し意識障害を伴った熱中症のことを指します。
この場合、運動失調や認知機能障害などの脳の障害だけでなく腎臓や肝臓などの重要な臓器も損傷を受け、機能不全に陥る可能性もあります。
こうした重い後遺症を防ぐためには、熱中症を疑ったら、いかに早く体を冷やし、適切な医療を受けるかが極めて重要になります。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
熱中症で手足がしびれるのはなぜですか?
体温上昇による中枢神経系の機能障害、および電解質異常が挙げられます。
熱中症で手足がしびれるのは、体内で異常が起きている重要なサインです。
主な原因として、体温上昇による中枢神経系の機能障害、および電解質異常が挙げられます。
深部体温が40°Cを超えると中枢神経系の障害が生じやすくなり、意識障害や運動失調、しびれなどの神経症状が現れます。
また、発汗による大量の水分・電解質の喪失が、筋肉や神経に影響し、しびれや筋けいれんを引き起こすこともあります。
重症化の前兆である可能性もあるため、しびれを感じたらすぐに涼しい場所で休み、水分と塩分を補給してください。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
熱中症になった翌日もだるさが続くのはなぜですか?
熱中症のあと、だるさが続くのは体がまだ回復を必要としている証拠です。無理をせず十分に休養しましょう。
熱中症になると、体は大量の汗をかいて水分や塩分を失い、さらに体温を平常に戻そうと必死に働くため、非常に大きなエネルギーを消耗します。そのため、熱中症の症状が治まったように見えても、体内の水分や電解質のバランスがまだ完全には回復していなかったり、臓器がダメージを受けていたりすることがあります。
このダメージから体が完全に回復するには時間がかかるため、翌日になってもだるさや倦怠感、食欲不振などの不調が続く場合があります。これは、体が受けた負担を修復する必要があるサインなので、無理をせず休養をとることが大切です。
梅雨の時期に熱中症にかかるのはなぜですか?
湿度が高くて汗が乾きにくく、体から熱が逃げにくいためです。また、体がまだ暑さに慣れていないことも原因です。
梅雨の時期に熱中症にかかりやすい理由は主に二つあります。一つ目は「高い湿度」です。気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなります。汗は蒸発するときに体の熱を奪って体温を下げるため、汗が乾きにくいと体温調節がうまく働かず、熱がこもりやすくなります。
二つ目の理由は「体が暑さに慣れていない」ことです。梅雨の時期は、まだ本格的な夏を迎える前で、体が暑さに対応できる準備(暑熱順化)が整っていません。そのような状態で急に蒸し暑い日を迎えると、うまく汗をかけずに体温が上昇し、熱中症を引き起こしやすくなるのです。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症は遺伝しますか?
熱中症は現段階では遺伝しないと考えられています。
熱中症そのものが、風邪やインフルエンザのようにウイルスが原因で起こる病気ではなく、また、特定の遺伝子が原因で必ず発症するような遺伝病でもありません。
しかし、熱中症になりやすい「体質」という点では、遺伝的な要因が全く関係ないとは言い切れません。
例えば、汗をかきやすいか、かきにくいかどうか、体温調節機能の強さや、暑さに対する体の反応の仕方などには個人差があり、これらの体質にはある程度遺伝的な要素が影響していると考えられます。
ですが、それ以上に大切なのは、生活環境や行動、暑さ対策といった後天的な要素です。
たとえ遺伝的に暑さに弱い体質であっても、適切な予防策を講じることで、熱中症のリスクを減らすことができます。
参考文献
Abderrezak Bouchama et al.“Classic and exertional heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35115565/,(参照 2025-05-22).
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-05-22).
熱中症にはどのような人がなりやすいですか?
スポーツをしている若い人や屋外で仕事をしている中壮年の人、高齢者がなりやすいと言われています。
スポーツをしている若い人や、屋外で仕事をしている中壮年の人は、運動や勤労のあいだに熱中症にかかる(労作性熱中症)ケースが多いとされています。
高齢者の場合、日常生活の中で熱中症を発症する(非労作性熱中症)ことが多いと言われています。
特に、日常生活動作が低下している(=トイレや入浴など身のまわりの活動が難しくなっている)人や、心疾患などの持病のある人は、熱中症による死亡率が高いとされており注意が必要です。
熱中症の検査・診断
熱中症は血液検査でわかりますか?
血液検査だけではわかりません。
熱中症は、血液検査だけではわかりません。血液検査で異常がなくても熱中症の可能性はあります。
熱中症の診断は、基本的に問診と診察で行われますが、症状が重い場合は血液検査を行うこともあります。主に脱水症状や腎機能、肝機能を評価し、血液の凝固異常の有無を確認するためです。
クレアチニン、尿素窒素、肝機能酵素(AST、ALT)、電解質(ナトリウム、カリウム)、凝固系、炎症反応(CRP)などの項目を測定し、症状と合わせて総合的に判断します。血液検査自体では熱中症か判断できませんが、重症度評価や合併症の早期発見に大切な検査です。
夏バテと熱中症の症状の見分け方を教えてください。
「突然のめまい」「激しい頭痛」「吐き気」などの症状が急に現れた場合は熱中症を疑いましょう。
夏バテと熱中症は症状が似ていますが、その性質と緊急性が大きく異なります。
夏バテは、夏の暑さによる自律神経の乱れからくる慢性的な不調で、「なんとなく体がだるい」「食欲がない」といった症状が数週間続く状態です。
一方で、熱中症は、急激な体温上昇や脱水によって起こる急性の健康障害であり、「突然のめまい」「激しい頭痛」「吐き気」などの症状が急に現れます。
最も重要な違いは、熱中症は急速に悪化し、意識障害などを引き起こして命に関わる危険がある点です。
夏だからと安易に夏バテと自己判断せず、急な体調不良を感じた場合は、熱中症を疑って速やかに涼しい場所で休み、水分を補給するなどの対処が必要です。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
熱中症の後遺症を調べる検査はありますか?
血液検査や画像検査、神経学的検査など、症状によってさまざまな検査があります。
熱中症の後遺症を調べる検査として、さまざまなものが考えられます。後遺症としては脳障害、腎機能障害、肝機能障害、心機能障害、血液凝固異常など、多臓器の機能低下が問題となるため、それぞれに対応した血液検査や尿検査が必要です。
たとえば、脳障害の評価には神経学的検査やCT・MRI検査、腎機能障害や肝機能障害、筋障害などは血液検査で評価されます。これらの検査で後遺症の有無や程度を把握し、適切なリハビリや治療につなげます。
熱中症で検査入院することはありますか?
入院することはありますが、検査が主な目的ではなく、重篤な症状に対応する必要なためと考えられます。
熱中症で入院することはありますが、検査が主な目的ではなく、重篤な症状への対応・治療が主な目的です。検査で身体の状態の把握が必要と判断された場合は実施されるでしょう。重症度が高く、意識障害が見られる・多臓器障害が疑われる場合は、入院治療と身体管理が必要です。
熱中症の検査では、脱水や多臓器不全、DIC(播種性血管内凝固症候群)などの合併症を評価するために、血液検査や尿検査、超音波検査などの画像検査が行われることがあります。
熱中症の重症度は、症状が軽い順にI度、II度、III度に分けられます。頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力や判断力の低下などのII度以上の症状を認めた場合は、すぐに受診してください。
熱中症は尿検査でわかりますか?
尿検査だけではわかりません。
熱中症は、尿検査だけではわかりません。熱中症の診断は基本的に問診と診察で行われますが、重症度や合併症を調べるために尿検査を行うことがあります。見た目の尿の色が濃く、濃縮されていたら水分不足のサインです。
特に腎機能障害が発生すると尿量が減り、尿中に蛋白質や血液が混ざる可能性があり、身体の循環状態や腎障害の程度を間接的に示す指標となります。脱水でショック状態になっている場合、「1時間あたり体重1kgにつき0.5ml」が目安の尿量になるように点滴を投与します。
熱中症の診断でCT検査は行いますか?
必ず行われるわけではありませんが、他の疾患を除外する目的で行われる可能性があります。
熱中症の診断で、CT検査は必ず行われるわけではありません。熱中症は、主に問診と診察、血液検査、尿検査で診断や重症度の評価が行われます。しかし、特に意識障害が起こっている場合は、脳出血や脳梗塞、髄膜炎など、主に脳神経に関わる他の臓器の疾患を除外する目的でCT検査が行われる可能性があります。
このように、熱中症そのものを直接診断するための検査というより、合併症や類似症状を持つ他の疾患の鑑別診断のために用いられる検査です。
熱中症を調べる簡易検査キットはありますか?
今のところ、熱中症を調べるための簡易検査キットはありません。
今のところ、熱中症を調べるための簡易検査キットはありません。熱中症の診断は、基本的に問診と診察で行われ、必要に応じて血液検査や尿検査を行って脱水症状や腎機能、肝機能を評価し、血液の凝固異常の有無を確認します。
検査キットを使うまでもなく、頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力や判断力の低下などの症状を認めた場合は、すぐに受診してください。重症度が高く、意識障害が見られる・多臓器障害が疑われる場合は、入院治療と身体管理が必要です。
熱中症に関連する遺伝子検査はありますか?
民間の会社が販売している、熱中症の重症化リスクを調べる遺伝子検査キットがあります。
民間の会社が販売している、熱中症の重症化リスクを調べる遺伝子検査キットがあります。以下に個人の見解を記します。
熱中症はセルフチェックできますか?
めまい、頭痛、だるさ、汗の異常、濃い尿の色など、体調の変化に注意することでセルフチェックが可能です。
熱中症の初期症状に自分で気づくことはある程度可能です。まず、めまいや立ちくらみ、頭痛、吐き気、気分の悪さ、体が異常にだるいといった症状がないか確認しましょう。また、汗のかき方も重要なサインです。急に汗が止まったり、逆にダラダラと大量の汗が出続けたりするのは注意が必要です。
簡単なセルフチェックとして、尿の色を確認する方法もあります。尿の色が濃い黄色になっている場合は、体内の水分が不足しているサインの可能性があるため、意識して水分などを補給してください。自分の体調の変化に早めに気づくことが、重症化を防ぐ第一歩です。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
どのような検査をして、熱中症と診断しますか?
基本的には問診と診察のみですが、重症度によっては血液検査を行うこともあります。
基本的には問診と診察のみ行います。
ただし、意識障害や痙攣(けいれん)が見られるなど症状が重ければ、採血検査を行います。
採血検査では、脱水症状がないかどうか確認するだけでなく、肝臓や腎臓の機能障害、血液の凝固異常などが起きていないかを確認します。
どのようにして診断しますか?
症状が出たのが高温多湿の環境下で、ほかに疑わしい病気が考えられない場合、熱中症と診断します。
気温や湿度が高い環境にいて、そこで身体を動かすなどしたことで体温が上がって症状が現れたと考えられる場合、熱中症を疑います。
そのうえで、他の病気が原因である可能性などを除外できたら、熱中症の診断を下します。
熱中症の治療・対処法
熱中症への対処法は?
水分補給と体温の冷却が重要です。症状がある場合は水分を補給しながら外来を受診してください。意識がない場合はすぐに救急車を呼んでください。
熱中症の治療を開始してから治るまでの流れを教えてください。
熱中症は涼しい環境で冷却と水分補給、重症の場合は緊急治療が必要です。
熱中症の治療は、症状の重さに応じて異なりますが、治療の流れは基本的に次のようになります。
まず、軽度から中等度の熱中症の場合、涼しい場所に移動し、安静にすることが重要です。服をゆるめ、身体を冷やすために氷や冷たい水で首や脇の下、足の付け根などを冷却します。同時に、水分と電解質(ナトリウムなど)を補給するために、スポーツドリンクや経口補水液を摂取します。
この段階で適切な対応が取られれば、多くのケースで数時間から1日程度で症状は改善します。
重症の熱中症(意識障害、けいれん、高体温が持続するなど)の場合、緊急治療が必要です。まず、ただちに医療機関へ搬送されることが最優先です。医療機関では、体温を速やかに下げるための冷却治療が行われ、同時に点滴で水分と電解質を補給します。場合によっては、呼吸や循環をサポートする処置が必要になることもあります。
重症例では、完全な回復までに数日から数週間かかることもあり、回復後も後遺症が残る可能性があるため、長期的な経過観察が必要です。
熱中症で入院が必要になるのはどんな場合ですか?
意識障害やけいれんといった重症の場合や、吐き気で自力で水分を摂れない場合は、点滴治療のため入院が必要です。
熱中症で入院が必要になるのは、症状が重く、自力での回復が難しいと判断された場合です。具体的には、呼びかけに反応が鈍い、言動がおかしいなどの「意識障害」が見られる場合や、全身がけいれんを起こしている場合です。
これらは重症な熱中症の典型的な症状で、命に関わる危険な状態です。また、吐き気やだるさが強く、自分で水分を摂ることができない場合も、点滴による水分・塩分補給が必要となるため入院することがあります。これらの症状が見られたら、ためらわずに救急車を呼び、専門的な治療を受ける必要があります。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症は何日で治りますか?
重症度に応じた治療をきちんと行えば、基本的には24時間以内によくなります。
重症度に応じた治療をきちんと行えば、基本的には24時間以内に症状が改善します。
ただし、持病のある方や高齢の方の場合、治療を行っても改善が得られず死亡してしまうケースもあります。
また、治療時にすでに重篤な状態だった場合、治療を行っても後遺症が残ってしまう可能性もあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
熱中症が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
症状がII度以上の重症の場合や、軽症であっても応急処置でよくならない場合は受診しましょう。
熱中症の重症度は、症状が軽い順にI度、II度、III度に分けられます。
II度(頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力や判断力の低下)よりもひどい症状が見られるときは、一刻も早く医療機関を受診しましょう。
めまいや立ちくらみ、筋肉痛といった、I度に分類される程度の軽い症状であれば、応急処置と見守りで対応できます。
ただし、応急処置を施しても症状がよくならなかったり、ひどくなったりした場合も、すみやかに医療機関を受診してください。
熱中症の重症度のI〜III度に該当する症状について、詳しくは下記ページでご確認ください。
子供の熱中症が疑われる場合、病院を受診すべき目安を教えてください。
意識障害が見られるような場合はすぐに救急車を呼びましょう。水分がとれない、応急処置で改善が見られないといった場合も、早めに受診してください。
以下のような場合は、すぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
- 呼びかけへの反応がおかしい
- けいれんしている
- 普段通りに歩けない
- 汗が出ない
- 異常に体温が高い
上記以外にも、口から水分がとれない場合や、水分摂取などの対処をしても改善しない場合には、早めの受診を検討しましょう。
熱中症で頭痛がひどい場合、すぐに病院へ行くべきですか?
熱中症でのひどい頭痛は危険なサインなので、すぐに医療機関を受診してください。
熱中症が疑われる状況でひどい頭痛がある場合は、ためらわずにすぐに医療機関を受診してください。
特に、ズキンズキンと脈打つような激しい痛みや、めまい、脱力感、発熱、吐き気・嘔吐などを伴う場合、意識がぼんやりするような場合は、熱中症が進行している可能性があります。
市販の頭痛薬を飲んで様子を見るのは非常に危険です。薬では根本的な原因である脱水や体温上昇は解決できず、対処が遅れることで深刻な事態を招きかねません。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
熱中症は何科を受診したらいいですか?
II度以上の症状(意識障害を認める)の場合、救急科を受診しましょう。意識障害がなく軽症であれば内科を受診しましょう。
熱中症の重症度は、症状が軽い順にI度、II度、III度に分けられます。
II度以上の症状(頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力や判断力の低下)を認めた場合、緊急に治療が必要なため、すぐに救急を受診してください。
熱中症は急激に症状が悪化する可能性があるため、なるべく早く治療を行うことが重要です。
I度に該当する症状の場合は、応急処置と見守りで対応が可能ですが、症状がなかなかよくならない場合は内科を受診するといいでしょう。
I〜III度の症状について、詳しくは下記ページでご確認ください。
熱中症の重症度の解説について
熱中症を放置するとどうなりますか?
症状が悪化し、場合によっては命に関わる可能性もあります。
軽症であればめまいや立ちくらみ、筋肉痛などが出る程度ですが、放っておくと頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力の低下を認めるようになります。
さらに放置してしまうと、意識障害や痙攣(けいれん)を認め、最悪のばあい死亡にいたることもあります。
高齢者や心疾患などの持病のある人は、熱中症がもとで亡くなる可能性が特に高いことが知られているので、注意が必要です。
熱中症の専門医がいる近くの病院はありますか?
熱中症の専門医がいる病院を見る熱中症の薬
熱中症予防や回復にビタミンは効果がありますか?
ビタミンが直接的な熱中症予防対策になるわけではありませんが、夏を乗り切る体作りをサポートする効果はあります。
熱中症の予防や回復に直接的な効果のあるビタミンに関する十分なエビデンスは現時点では存在せず、ビタミンが直接的に体温を下げたり、脱水を改善したりするわけではありませんが、暑い夏を乗り切る体作りをサポートしてくれます。特に重要なのが、豚肉やうなぎなどに多く含まれる「ビタミンB1」です。これは、食事から摂った糖質をエネルギーに変える働きを助けるため、夏バテによる疲労感の軽減に繋がります。
また、果物や野菜に豊富な「ビタミンC」は、ストレスへの抵抗力を高める効果が期待できます。これらのビタミンをバランスよく摂ることは、暑さに負けない体力を維持し、間接的に熱中症を予防・回復させる上で効果的です。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
一般的にどのような薬を飲んで治療しますか?副作用はありますか?
薬はあまり用いません。経口補水液(けいこうほすいえき)やビタミン剤などを用いた治療が中心になります。
熱中症の治療では薬はあまり用いません。
いわゆる解熱剤は、体の中の体温調節に働きかけて熱を冷ます効果を持ちますが、熱中症は外気温のために熱くなっているために効果が期待できません。
水分補給を目的に経口補水液やビタミン剤を用いた治療が中心になります。
意識障害があったり嘔吐を繰り返したりして水を飲めないときは点滴を行います。
熱中症の経過・予後
熱中症の後遺症にはどのようなものがありますか?
脳や肝臓、腎臓、心臓、肺などに障害が残る可能性があります。
重症の場合、脳に後遺症が残ることがあります。
脳の後遺症としては、小脳障害(ふらふらしたり、手足を正しく動かせなくなる)や記憶障害などが残りうることが報告されています。
その他、肝臓、腎臓、心臓、肺などに障害が残る可能性もあります。
熱中症の予防
熱中症を防ぐ「熱放散」とは何ですか?
体の熱を外へ逃がす仕組みです。汗が蒸発する時の気化熱などを利用して体温を下げ、熱中症を防いでいます。
「熱放散」とは、体内で作られた熱や、周りの環境から受け取った熱を、体の外へ逃がす仕組みのことです。私たちの体は、この熱放散によって体温を一定に保っています。熱放散の主な方法は二つあります。
一つは「発汗」です。皮膚から出た汗が蒸発する際に、体の表面から熱を奪うことで体温を下げます。もう一つは、皮膚の血管を広げて血流を増やし、外気との温度差を利用して熱を空気中に放出する方法です。
湿度が高くて汗が蒸発しにくかったり、気温が体温より高かったりすると、この熱放散がうまくいかなくなり、体内に熱がこもって熱中症のリスクが高まります。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症を防ぐために屋外作業を中止する基準はありますか?
気温や湿度を考慮した「暑さ指数(WBGT)」が基準です。31以上では屋外での作業は原則中止が推奨されます。
熱中症のリスクを客観的に評価する「暑さ指数(WBGT)」という指標が広く用いられています。これは気温だけでなく、湿度や日差しの影響も考慮した数値です。
環境省や厚生労働省は、この暑さ指数に基づいたガイドラインを示しており、例えば、暑さ指数が31以上になると「特別の場合以外は運動を中止する」ことや「外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する」ことが強く推奨されています。
特に、体が暑さに慣れていない人や、体力に自信のない人は、より低い指数でも注意が必要です。現場の状況に合わせて、この基準を目安に休憩を増やしたり、作業を中止したりすることが求められます。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症予防の水分出納バランスとは何ですか?
体に入る水分と出る水分のバランスです。汗で失われる水分をこまめに補給し、脱水を防ぐことが熱中症予防の基本です。
私たちの体は、飲み物や食べ物から水分を取り入れ(収入)、汗や尿、呼吸などで水分を排出(支出)しています。この収入と支出のバランスを「水分出納バランス」と呼びます。健康な状態ではこのバランスが保たれていますが、暑い環境では大量の汗をかくため、支出が大幅に増えます。
この失われた水分を適切に補給しないと、バランスが崩れて脱水状態になり、熱中症のリスクが高まります。予防のためには、のどが渇く前にこまめに水分を摂り、汗で失われた水分をしっかり補って、体の水分の均衡を保つことが非常に大切です。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症予防のための正しい水分補給の方法を教えてください。
熱中症予防の水分補給は、喉が渇く前にこまめに飲むことが最も大切です。
熱中症を予防するための水分補給で最も大切なのは、「喉が渇く前」に飲むことです。喉の渇きを感じた時点では、すでに体内の水分が不足し始めています。そのため、時間を決めて意識的に水分を摂る習慣をつけましょう。
一度に大量に飲むのではなく、1日に何度も分けて飲むのが効果的です。特に、起床時、運動の前後、入浴前後、就寝前は水分が失われやすいタイミングなので、忘れずに補給しましょう。
また、大量に汗をかく活動をする際には、水だけではなく、スポーツドリンクなどで塩分も一緒に補給することが重要です。
対処法・セルフケア
熱中症による息苦しさへの対処法を教えてください。
危険なサインの可能性があります。涼しい場所で楽な姿勢になり、ためらわず救急車を呼んでください。
熱中症で息苦しさを感じた場合、危険なサインの可能性があるので、すぐに対処が必要です。
まず、ただちに運動や作業を中止し、風通しのよい日陰や冷房の効いた室内など、涼しい環境へ避難してください。そして、ベルトやネクタイなど、体を締め付けている衣服を緩め、楽な姿勢で深く、ゆっくりと呼吸することを心がけましょう。
意識が朦朧とするなど、他の重い症状がある場合は、命に関わる可能性もあるため、ためらわずに救急車を呼ぶことが最も重要です。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症で吐き気が止まらない時の対処法を教えてください。
吐き気がある時は無理に飲まずに体を冷やしてください。自力で水分が摂れない場合は、ためらわず医療機関を受診しましょう。
熱中症で吐き気が止まらない時は、非常に危険なサインの可能性があります。無理に水分を飲もうとすると、吐いてしまったり、誤って気管に入ったりする危険があります。ただちに涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて楽な姿勢で横になりましょう。
体を冷やすことが最優先なので、濡れたタオルや保冷剤などで首の付け根、脇の下、足の付け根などを冷やしてください。自力での水分補給が困難な場合や、意識がはっきりしない場合は、ためらわずに救急車を呼び、医療機関で適切な処置を受けることが重要です。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症による立ちくらみが起きた時の対処法を教えてください。
まず転倒を防ぐためしゃがみ、涼しい場所で足を高くして休み、水分と塩分を補給してください。
熱中症による立ちくらみが現れたら、まず転倒を防ぐためにその場にゆっくりしゃがみ込むか、可能であれば、すぐに横になりましょう。
そして、日陰やエアコンの効いた涼しい場所に移動します。体を締め付けているベルトや衣服を緩めてリラックスさせましょう。
横になる際は、足をカバンなどの上に乗せて心臓より少し高い位置にすると、より効果的です。
同時に、スポーツドリンクや経口補水液、塩分を含む飴やタブレットなどで、失われた水分と塩分をゆっくり補給することが重要です。
しばらく休んでも症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
部活動やスポーツ中に熱中症が起きた時の対処法を教えてください。
意識がなければ救急車を。意識があれば涼しい場所へ運び、体を冷やしながら水分・塩分を補給させてください。
部活動やスポーツ中に、仲間が熱中症になったら、まず、意識があるかを確認することが最も重要です。もし呼びかけに応えない、または反応がおかしい場合は、命の危険があるため、すぐに救急車を呼んでください。
意識がはっきりしている場合でも、ただちに運動を中止させ、日陰や冷房の効いた部屋など涼しい場所へ運びます。そして、衣服を緩めて体をリラックスさせ、濡らしたタオルを当てたり、うちわで扇いだりして体温を下げます。特に首の周り、脇の下、足の付け根を冷やすと効果的です。
本人が飲めるようなら、スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給させてください。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症対策で冷やすべき場所はどこですか?
首の付け根・脇の下・足の付け根を氷などで冷やすのが最も効果的です。
熱中症になってしまった人を助ける際、効率よく体温を下げるためには、皮膚のすぐ下を太い動脈が通っている場所を冷やすことが重要です。具体的には、「首の付け根の両側」「脇の下」「足の付け根(股関節の部分)」の3点が効果的です。
これらの場所を、氷のうや保冷剤をタオルで包んだもの、あるいは冷たいペットボトルなどを当てて冷やすことで、冷やされた血液が全身を巡り、体の中心部の温度(深部体温)を効率的に下げることができます。
もし、氷などがなければ、濡らしたタオルで全身を拭き、うちわや扇風機で風を送るだけでも、気化熱によって体温を下げる助けになります。
熱中症対策に適したおすすめの飲み物を教えてください。
基本はこまめな水分補給が重要ですが、脱水症状を伴う場合は経口補水液などが有効です。
熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。日常的な水分補給には、水やカフェインの入っていない麦茶などが適しています。
しかし、たくさん汗をかき、脱水状態が疑われる場合は、水分と一緒に塩分などのミネラルも失われています。その際は、スポーツドリンクや経口補水液がおすすめです。特に経口補水液は、水分と電解質を素早く体に吸収できるよう成分が調整されており、脱水症状が疑われる場合には有効です。
ただし、一時的に大量に飲むと、ナトリウムなどの過剰摂取になる可能性もあるため、腎臓や心臓などの病気がある場合は、医師の指示を仰いでください。
熱中症に対して自分でできる、即効性のある対処法はありますか?
涼しい場所で安静にし、体を冷やしながら水分補給を行なってください。
熱中症に対して即効性のある自分でできる対処法として、まず最も重要なのは、早急に体温を下げることです。
以下の方法が効果的です。
涼しい場所に移動
直射日光を避け、日陰やクーラーの効いた室内など、涼しい環境に移動します。風通しの良い場所で安静にし、体を冷やすことが第一です。
身体を冷やす
脇の下、首、足の付け根など、大きな血管が通る部分を冷たいタオルや氷で冷却します。これにより、体内から効率よく熱を下げることができます。冷たいシャワーや水浴びも有効です。
水分補給
水分を補給する際には、ただの水ではなく、塩分(ナトリウム)を含む飲料を摂取することが重要です。市販のスポーツドリンクや経口補水液が理想的です。大量の発汗で電解質が失われているため、水分とともに塩分も補給する必要があります。
衣類をゆるめる
締め付けの強い衣類は脱いだりゆるめたりして、体表面からの熱放散を促します。
これらの対処法により症状が改善しない場合や、頭痛、吐き気、意識障害がみられる場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
重症化すると、迅速な治療が必要なため、症状が悪化する前に適切な対応を行うことが大切です。
子供の熱中症予防のために、日常生活で気をつけたほうがいいことを教えてください。
水分補給をこまめに行う、通気性のいい服を着る、高温多湿を避けるといったことが大切です。
1. 水分補給をこまめに行うようにしましょう
目安として運動中は20〜30分ごとに休憩をとり、水分補給を行うことが推奨されています。
また、運動開始前後もしっかりと水分を補給する必要があります。
各自ののどの渇きに任せて水分を補給していると、水分が不足し熱中症を引き起こすおそれがあります。
2. ゆったりした、通気性のいい服を着るようにしましょう
風通しのいい服を着ることで、体の熱を逃しやすくすることが大切です。
また、汗が蒸発しやすい急乾・速乾性の素材の服を選ぶといいでしょう。
熱を吸収しやすい黒色の服は避けることが望ましいです。
3. 高温多湿の環境は避けるようにしましょう
暑いときは外で活動しないようにしましょう(気温が30度以上になると屋外での活動の危険度が高まります)。
また、湿度が高いと熱中症のリスクがさらに高まります。
外で活動せざるを得ない場合は、帽子や日除けで日差しを避けましょう。
また、小さなお子さんを車の中に置き去りにしないように気をつけましょう。
子供が熱中症になったとき、市販薬は飲ませても大丈夫でしょうか?
市販薬の使用はかまいませんがあまり効果はないかもしれません。
市販薬を使用することはかまいませんが、あまり効果的ではないかもしれません。
たとえば熱中症による発熱に対しては、解熱剤を使用しても効果的ではないです。
解熱剤は体が熱をだそうとしているのを抑える働きをするのですが、熱中症は外気温のせいで体温が上がっているからです。
ただ、頭痛のような痛みに対して鎮痛薬は効果があるかもしれません。
熱中症の応急処置はどのようにして行えばいいですか?
涼しい場所で安静にし、経口補水液をしっかり飲み、アイスパックなどで体を冷やしましょう。
軽症(I度)の熱中症であれば、応急処置と見守りで対応が可能です。
まずはクーラーなどがきちんと効いている涼しい場所に移動し、安静にしましょう。
また、経口補水液などをしっかり飲んで水分補給をし、アイスパックなどで体を冷やしましょう。
なお、意識障害が見られるなど重症の場合は、すぐに医療機関の救急科を受診してください。
重症の場合、医師の指示にしたがって、深部体温(体の内部の温度)が38℃以下になるまで全身を冷やす治療を行います。
熱中症の治し方について教えてください。
全身の体温を下げ、市販の経口補水液(けいこうほすいえき)で水分を補給します。
まずは全身の体温を下げるようにします。
クーラーの効いた室内などの涼しい環境に移動し、アイスパックを体に当てたり霧吹き等で水を吹きかけたりして積極的に全身を冷やします。
なるべく早く体温を下げることが早い回復や後遺症の阻止につながるので、医療機関を受診する場合も到着前から冷却を行うようにしましょう。
また、経口補水液(けいこうほすいえき;OS-1®)などで水分を補給することも重要です。
意識障害があったり嘔吐を繰り返したりして水を飲めない場合は点滴を行います。
熱中症の対策や予防はどうしたらいいですか?
高温多湿の環境をなるべく避け、こまめに水分をとりましょう。体を動かすときは合間に休憩をとりましょう。
気温が高く湿気の多い環境はなるべく避け、こまめに水を飲むようにしましょう。
また、スポーツや労働で体を動かすと体温が上がりやすいので、ときどき休憩をとり、クーリング(体の冷却)をするようにしましょう。
熱中症に関連するその他の質問
熱中症なのに汗をかかないことはありますか?
熱中症でも汗をかかないことはあります。
熱中症で汗をかかなくなることはあります。これは高齢者や基礎疾患を有する方に多く、体温調節機構の障害や発汗反応の低下が関与しています。
通常、私たちの体は汗をかくことで気化熱を利用し、体温を下げようとします。しかし、高齢者などの方の場合、この機能が損なわれている可能性があります。この場合、汗をかけなくなると体から熱を逃がすことができず、体温は急激に上昇し続けます。
皮膚が赤く乾燥して、熱いのに汗をかいていない場合は、体を冷やす応急処置を行い、改善が認められない場合は医療機関を受診してください。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症で発熱が起こることはありますか?
体に熱がこもることで発熱します。体を冷やす応急処置が重要で、高熱の場合はすぐに医療機関を受診してください。
発熱は熱中症の代表的な症状のひとつです。私たちの体は汗をかくことで体温を調節していますが、高温多湿の環境に長時間いると、体温調節が追いつかなくなります。その結果、体内に熱がこもってしまい、体温が上昇します。これが熱中症による発熱です。
特に、意識障害などを伴う重症の熱中症では、体温が40度を超える危険な状態になることもあります。風邪の発熱とは原因が異なるため、体を冷やす応急処置(涼しい場所への移動、衣服を緩めるなど)が何よりも重要です。高熱が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症で腹痛が起こることはありますか?
熱中症で腹痛を生じることは十分にありえます。
熱中症で腹痛が起こることがあります。熱中症の消化器症状としては、悪心、嘔吐、下痢などがあり、腹痛もその一部として認められます。
特に重症例では、腸管虚血などが発生しやすく、その結果、消化器の機能が低下し、腹痛や吐き気、下痢といった症状を引き起こすことがあります。
これも熱中症のサインのひとつなので、涼しい場所で休息をとり、少しずつ水分と塩分を補給することが大切です。症状が続く場合や、痛みが強い場合は、医療機関を受診するようにしてください。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症で寒気がすることはありますか?
高熱なのに寒気がするのは重症のサインです。命の危険があるため、すぐに救急車を呼び、体を冷やしてください。
熱中症で寒気(悪寒)を感じることは、典型的な症状ではありませんが、重症例においては、みられることがあります。
熱中症の主な症状は、疲労感、脱力、めまい、頭痛、吐き気、発汗異常、意識障害などであり、寒気は一般的な初期症状には含まれていません。しかし、熱射病の急性期においては、体温が著しく上昇し、体温調節機構が破綻するため、寒気を感じることがあります。
このような症状がみられたら、命に関わる緊急事態ですので、ただちに救急車を呼び、到着を待つ間、体を冷やす応急処置(涼しい場所への移動、衣服を緩めるなど)を続けてください。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症でめまいがする場合、どう対処したらよいですか?
脱水の可能性があります。涼しい場所で横になり、足を高くして休みましょう。意識があれば水分と塩分を補給してください。
熱中症でめまいがするのは、汗で体内の水分や塩分が失われ、脱水症状によって症状が出てしまっている可能性があります。
まずは、すぐに日陰や冷房の効いた涼しい場所へ移動してください。そして、衣服を緩めて横になり、安静にすることが大切です。この時、足を心臓より少し高くすると、症状が改善する可能性があります。
意識がはっきりしていれば、スポーツドリンクなどで水分をゆっくり補給しましょう。症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。
参考文献
Hewett Brumberg, Elizabeth K et al. 2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid. Circulation. 2024, 150, e519-e579.
Sorensen, Cecilia, and Jeremy Hess. Treatment and Prevention of Heat-Related Illness. he New England journal of medicine. 2022, 387, 1404-1413.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-23).
熱中症の「熱疲労」とはどんな状態ですか?
熱疲労は、熱中症の4段階ある重症度分類でⅡ度に位置づけられる状態です。
熱疲労は、熱中症の重症度分類でⅡ度に位置づけられる状態で、大量の汗をかくことによって体内の水分と塩分が著しく不足した状態を指します。主な症状として、強いだるさ(倦怠感)、頭痛、嘔気および嘔吐などが現れます。
この段階では、意識は保てているものの、集中力や判断力が低下しているのが特徴です。熱疲労の段階で適切に処置をしないと、体温調節機能が破綻し、意識障害などを引き起こす最も重症な熱射病へと進行する危険性があります。
涼しい場所へ移動し、水分・塩分を補給し、体を冷やすなどの応急手当に加えて、医療機関の受診が必要になります。
熱中症になると血圧は上がりますか?
熱中症では血圧が低下しやすく、その変動にも注意が必要です。
熱中症になると、一般的には血圧が低下する傾向にあります。
これは、主に2の理由が考えられます。
1.体温を下げるために全身の血管が拡張する
血管が広がると、血液が流れやすくなる一方で、血管内の圧力は低下します。
2.大量の汗をかくことによる脱水
体内の水分が失われると、血液の全体量も減少し、結果として血圧が下がります。
ただし、体の状態や熱中症の進行度合いによっては、一時的に血圧が変動することもあります。
特に、持病がある方や高齢者の方は注意が必要です。
血圧だけでなく、脈拍が速くなる、めまいや立ちくらみがするなどの症状も合わせて観察することが大切です。
参考文献
Abderrezak Bouchama et al.“Classic and exertional heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35115565/,(参照 2025-05-22).
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-05-22).
熱中症で言動がおかしくなることはありますか?
熱中症ではつじつまが合わないことを話す、幻覚や幻聴を訴えることがあり、それは命に関わる危険なサインです。
熱中症が進行し、体温が著しく上昇すると、脳の機能にも深刻な影響が及びます。
脳は熱に非常に弱いため、体温が上がりすぎると正常に働かなくなってしまいます。
その結果として、普段と違う言動が見られるようになります。
例えば、話しかけても反応が鈍い、集中力が散漫になる、簡単な質問にも答えられない、つじつまが合わないことを話す、幻覚や幻聴を訴える、といった症状が現れます。
さらに重症になると、意識が混濁したり、けいれんを起こしたり、最悪の場合は昏睡状態に陥ることもあります。
これらの症状は、単に「疲れている」というレベルではなく、命に関わる危険な兆候ですので、周囲の人が気づいた場合は、ためらわずに救急車を呼ぶなど、迅速な対応が必要です。
参考文献
Abderrezak Bouchama et al.“Classic and exertional heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35115565/,(参照 2025-05-22).
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-05-22).
熱中症による顔色の変化について教えてください。
熱中症の初期は顔が赤く見え、重症化すると血流が悪化し青白くなり、これは危険なサインです。
熱中症の初期段階では、体は体温を下げようと一生懸命働きます。
その働きの一つとして、皮膚の表面近くの血管を広げて、熱を外に逃がそうとします。このため、顔が普段より赤く見えることがあります。
しかし、症状が進行して重症化すると、脱水が進み、体内の血液量が減少すると、心臓や脳といった重要な臓器に血液を集中させようとするため、皮膚への血液供給は後回しになります。
その結果、顔色が悪くなり、青白く見えたり、唇が紫色になったりすることがあります。
これは体が危険な状態に陥っている重要なサインですので、顔色の変化を注意深く観察し、異常があればすぐに対処を開始することが重要です。
参考文献
Abderrezak Bouchama et al.“Classic and exertional heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35115565/,(参照 2025-05-22).
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-05-22).
2025年の甲子園では2部制が導入されていますが、夏にスポーツをする時の熱中症対策を教えてください。
夏のスポーツ時は、涼しい時間帯の運動、こまめな水分・塩分補給、身体冷却、体調管理が重要です。
夏の暑い時期にスポーツを行う際は、熱中症を防ぐための対策がとても重要です。主な対策は、以下の通りです。
- 涼しい時間帯と服装: 暑い時間帯(日中)を避け、朝夕の比較的涼しい時間に運動を行いましょう。吸湿性や通気性のよい薄着を選び、炎天下では帽子を着用して直射日光を避けてください。
- 水分・塩分補給: 汗で失われる水分と塩分(ナトリウム)を補うため、運動中は30分に1回程度を目安に、こまめに補給が不可欠です。5〜15℃に冷やした、0.1〜0.2%の食塩と4〜8%程度の糖質を含んだスポーツドリンクが効果的です。
- 身体冷却: 体内の熱を効率的に吸収するアイススラリー(液体と微細な氷が混ざった飲料)の摂取が有効です。運動前に体を冷やす「プレクーリング」も、体温上昇を抑え活動時間を延ばす効果が期待できます。
- 体調管理と暑さへの慣れ: 急に暑くなった時は、体が暑さに慣れるまで約1週間かかります。慣れないうちは、軽めで短時間の運動から徐々に体を慣らしましょう。少しでも体調が悪くなったら、すぐに運動を中止し、周囲に伝えることが大切です。指導者も選手の健康状態に常に注意を払うべきです。
これらの対策を組み合わせることで、安全に夏のスポーツを楽しめます。
熱中症で暑さを感じなくなることはありますか?
重症化すると体温調節機能が麻痺し、暑さを感じず汗も出ない危険な状態になることがあります。
これは熱中症が重症化した非常に危険なサインの可能性があります。私たちの体は、脳にある体温調節中枢が司令塔となって汗をかくなどして体温をコントロールしています。
しかし、極度の高温環境にさらされ続けると、この中枢機能が麻痺してしまうことがあります。すると、体温が40℃を超えるような危険な状態になっても、体は「暑い」と感じることができず、汗をかくことすらできなくなります。
その結果、体に熱がこもり続けて多臓器不全などを引き起こし、命に関わる事態に陥るのです。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症対策におすすめの塩分の補給方法を教えてください。
大量に汗をかき、脱水症が疑われる場合は、スポーツドリンクや塩タブレットが手軽です。
熱中症対策の塩分補給は、汗をかく量や場面に応じて使い分けるのがおすすめです。日常生活で軽く汗をかく程度なら、普段の食事から十分な塩分が摂れていることが多いので、特に意識する必要はありません。
しかし、屋外でのスポーツや長時間の作業で大量に汗をかき、脱水症が疑われる場合は、塩分補給が必要です。手軽な方法としては、塩分やミネラルを含むスポーツドリンクや経口補水液を飲むことです。また、外出先では塩分補給用のタブレットや飴が便利です。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症によるナトリウム不足を解消する方法はありますか?
脱水症が疑われる場合は経口補水液がおすすめですが、持病をお持ちの方は事前に主治医と相談しておきましょう。
熱中症によるナトリウム不足は、汗とともに失われた電解質を適切に補給することで解消できます。最も効果的なのは、水分と電解質がバランス良く配合された経口補水液を飲むことです。
しかし、注意点として、激しい運動による大量の発汗や、長時間高温の場所での労働等により脱水症が疑われない限り、日本人は塩分を意識して追加補給する必要はありません。ほとんど汗をかかないのに、「熱中症対策飲料水」を水代わりに1日にたくさん飲むと塩分摂取過多になる可能性があります。
腎臓病などの持病をお持ちの方は特に注意が必要です。事前に医師と熱中症対策について相談しておくことをおすすめします。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
熱中症の重症度はどのように分類されますか?
症状などによりⅠ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)Ⅳ度(最重症)の4段階に分類されます。重症度によって対処法が異なります。
熱中症の重症度は、症状に応じてⅠ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)、Ⅳ度(最重症)の4段階に分類されます。Ⅰ度は現場での応急処置で対応できる状態で、立ちくらみ、めまい、筋肉のこむら返り(熱けいれん)などが主な症状です。
Ⅱ度は病院での治療が必要な中等症で、頭痛、吐き気、嘔吐、体がぐったりする倦怠感といった症状が現れます。Ⅲ度では、意識障害、けいれんなどの症状が見られ、肝臓や腎臓などに機能障害も認めるようになります。
そして、最も危険なⅣ度では、深部体温が40度以上で意思疎通ができない状態となり、命の危険があるため、すぐに入院して集中治療が必要です。この分類を知っておくことで、適切な対処につながります。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
クーラーをつけていても熱中症になることはありますか?
設定温度が高い、湿度が高い、水分補給が不足していると、クーラーのある室内でも熱中症になることがあります。
クーラーをつけている室内でも熱中症になることがあります。これを「室内熱中症」と呼びます。原因として、クーラーの設定温度が高すぎたり、節電のために長時間運転をためらったりして、室温が十分に下がっていないケースが挙げられます。
また、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体から熱が逃げにくくなるため、除湿機能の活用も重要です。高齢者や乳幼児は体温調節機能が未熟なため、特に注意が必要です。自覚症状がないまま脱水が進むこともあるため、クーラーを適切に使い、こまめな水分補給を心がけることが大切です。
参考文献
Kurt P Eifling et al.“Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38425235/,(参照 2025-07-28).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-28).
高齢者の熱中症対策で、特に注意すべきことを教えてください。
周りの人が定期的に水分補給を促し、ためらわずにエアコンを使うよう勧めることが大切です。
高齢者の方は、熱中症になるリスクが非常に高いため、特別な注意が必要です。
その理由として、まず加齢により認知機能が低下していたり、慢性疾患を抱えている場合が多いことが挙げられます。
また、暑さや喉の渇きを感じる感覚が鈍くなるため、本人が気づかないうちに脱水が進んでいることが少なくありません。
さらに、体温を調節する機能も低下しています。そのため、周りの人が気にかけてあげることが大切です。
具体的には、時間を決めて水分補給を促したり、本人が暑さを我慢していても、室温をこまめにチェックし、ためらわずにエアコンの使用を勧めることが重要です。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
気温は何度から熱中症の危険性がありますか?
暑さ指数(WBGT)が25を超えると熱中症が発生し始めます。
一般的に、暑さ指数(WBGT)が25を超えると熱中症が発生し始め、WBGTが28を超えると患者数が急増すると言われています。
熱中症のリスクを気温だけで判断するのは危険です。同じ気温でも、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体から熱が逃げにくくなるため、熱中症の危険度は格段に上がります。
そのため、気温に加えて湿度や日射などの要素も考慮した「暑さ指数(WBGT)」を確認することが非常に重要です。
特に、梅雨明けで急に蒸し暑くなった日など、まだ体が暑さに慣れていない時期は、それほど気温が高くなくても熱中症になりやすい傾向があります。
数字だけにとらわれず、自分の体調をよく観察することも大切です。
参考文献
Cecilia Sorensen et al.“Treatment and Prevention of Heat-Related Illness”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170473/,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2025-07-08).
熱中症で死亡するのはどのようなときですか?
深部体温40℃以上で意識障害を起こしている場合は特に命の危険があります。
熱中症の重症度分類にはⅠ度からⅣ度まであり、最も死亡率の高い状態はⅣ度に陥った場合です。
Ⅳ度は、高温多湿な環境などによって意識障害をきたし、深部体温が40℃以上にまで異常上昇してしまう状態を指します。
この極端な高体温が続くと、脳や心臓、腎臓、肝臓といった生命を維持するために不可欠な臓器が機能しなくなってしまいます。
その結果、全身の臓器が働かなくなる「多臓器不全」を引き起こし、死に至ります。
意識障害やけいれんといった危険なサインが現れ、発見が遅れたり、体を冷やすなどの応急手当が迅速に行われなかったりした場合に、死亡リスクが極めて高くなります。
熱中症に気を付けるプールの水温と気温の基準はありますか?
水温が中性水温(33℃~34℃)より高い場合、または暑さ指数が31以上の場合は、特に体温を下げる工夫が必要になります。
プールでの活動においても熱中症に注意が必要で、そのための水温や気温の目安があります。
水温が適正水温(33℃~34℃)より高い場合は、水中でじっとしていても体温が上がるため、体温を下げる工夫が必要になります。
体温を下げるには、プール外の風通しのよい日陰で休憩する、シャワーを浴びる、風に当たる等が有効です。
水温が適正水温以下の場合は、水が体を冷却してくれますので、水中運動は陸上運動に比べて体温が上がりにくいです。
ただし、気温が高い日は「暑さ指数(WBGT)」が31以上で日射が強い場合は、水から出ている頭部への輻射熱の影響による熱中症に十分注意してください。
また、たとえ水中にいても、汗をかいて体内の水分は失われていきます。
喉の渇きを感じにくいため、意識して休憩時間を設け、こまめに水分と塩分を補給することが、プールでの熱中症予防の鍵となります。
参考文献
横浜市教育委員会事務局.“横浜市立学校 熱中症対策ガイドライン”..https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sg_sef/R0201/ref02.pdf,(参照 2025-07-08).
堺市教育委員会.“堺市学校園における熱中症対策ガイドライン”..https://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/kyoiku/gakko/yutakana/anzen/guidelines.files/guidelines.pdf,(参照 2025-07-08).
Yoram Epstein et al.“Heatstroke”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31216400/,(参照 2025-07-08).
熱中症になったあと、体調管理で気をつけることはありますか?
無理せず、涼しい場所での休養と水分補給を続け、消化のよい食事で回復に努めましょう。
熱中症になったあとは、体が大きなダメージを受けているため、決して無理をしてはいけません。まずは十分な休息と睡眠を確保し、体を回復させることに専念してください。水分と塩分の補給は引き続きこまめに行い、脱水状態に逆戻りしないよう注意しましょう。
食事は、おかゆやうどん、スープといった消化がよく栄養のあるものから、少しずつ摂るように心がけてください。完全に体調が戻るまでは、激しい運動や長時間の外出、飲酒などは避け、涼しい環境で穏やかに過ごすことが重要です。
だるさなどの症状が長引く場合は、医療機関を受診することも検討しましょう。
熱中症と熱射病や日射病の違いを教えてください。
現在の熱中症診療ガイドラインでは、重症度を分かりやすくするために、熱射病などの用語ではなく、Ⅰ〜Ⅳ度までの重症度分類が採用されています。
「熱中症」とは、暑い環境が原因で起こる体の不調の総称です。その症状の重さや原因によって、いくつかの病態に分類されます。
「日射病」は、強い日差しを長時間浴び続けることが主な原因で起こる熱中症の一種で、頭痛やめまい、吐き気などの症状が特徴です。
一方、「熱射病」は、体温が異常に上昇してしまい、意識障害を伴う状態であり、熱中症の中でも最も重症な状態です。意識がなくなったり、痙攣を起こしたりすることがあり、命に関わる非常に危険な状態です。
しかし、現在の熱中症診療ガイドラインでは、重症度をわかりやすくするために、熱射病などの用語ではなく、Ⅰ〜Ⅳ度までの重症度分類が採用されています。
熱中症と塩分不足の関係性を教えてください。
熱中症と塩分不足(ナトリウム欠乏)は密接に関連しています。
熱中症の発症には、発汗による水分とナトリウムの喪失が関与し、特に高温環境下での長時間の活動や運動時には、発汗によるナトリウム喪失が顕著となります。
塩分(ナトリウム)補給が不十分なまま、大量の水分のみを摂取すると、血中のナトリウム濃度が低下し、低ナトリウム血症を引き起こすリスクが高まります。低ナトリウム血症は、頭痛、悪心、倦怠感、意識障害、痙攣などの症状を呈し、重症例では生命に関わることもあります。
特に高齢者や基礎疾患を有する患者さん、長時間の運動や屋外作業を行う人は、リスクが高いとされています。
熱中症になりにくい体を作る暑熱順化トレーニングを教えてください。
暑熱順化とは、軽い運動で体を暑さに慣らし、熱中症になりにくい体を作ることです。
暑熱順化とは、体を徐々に暑さに慣れさせて、熱中症になりにくい体を作ることを言います。
本格的な夏が来る前から、少し汗をかく程度の運動を継続して行うことが効果的です。例えば、ウォーキングや軽いジョギングなどを1回30分程度、週に5日ほど行うのがおすすめです。
大切なのは、無理のない範囲で始めることと、継続することです。運動する時間帯は、日中の暑い時間を避け、比較的涼しい朝や夕方を選びましょう。数週間続けると、効率よく体温調節ができるようになります。
参考文献
.“「暑熱順化」”.厚生労働省.https://jsite.mhlw.go.jp/niigata-roudoukyoku/content/contents/1kenan-neccyuguide-06-03.pdf,(参照 2025-07-07).
Roberts, William O et al. ACSM Expert Consensus Statement on Exertional Heat Illness: Recognition, Management, and Return to Activity. Current sports medicine reports. 2023, 22, 134-149.
Eifling, Kurt P et al. Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update. Wilderness & environmental medicine. 2024, 35, 112S-127S.
2025年6月1日に改正された、職場の熱中症対策を義務化する労働安全衛生規則の内容について教えてください。
職場での熱中症対策は、2025年6月1日から事業者の義務となります。
2025年6月1日から、職場の安全と健康に関するルールである労働安全衛生規則が改正され、会社などの事業者は、働く人の熱中症対策をよりしっかりと行うことが法律上の義務となります。
これは、近年、気候変動の影響で夏場の気温が高い日が増え、それに伴って熱中症になる労働災害が増えていること、特に命を落とす災害の多くが、初期の症状に気づかず対応が遅れたために起こっているからです。
新しい義務として、熱中症が起こるかもしれない作業を行う際には、働く人が自分で熱中症の症状を感じたときや、一緒に働く仲間が熱中症かもしれないと気づいたときに、すぐに報告できる仕組みをあらかじめ作り、働く人全員に伝える必要があります。
また、熱中症が疑われる人が出た場合、どうやって作業から離れてもらうか、どのように体を冷やすか、必要であれば病院に連れて行くかなど、具体的な対応の手順をあらかじめ決めて、これも働く人全員に伝えることが義務付けられます。
「熱中症が起こるかもしれない作業」とは、WBGTという暑さの厳しさを示す指数が28度以上、または気温が31度以上の場所で、続けて1時間以上、または1日に合計4時間以上行う作業を指します。
こうした作業以外でも、熱中症になる危険が高い場合は、今回の新しいルールに準じた対策をとることが望ましいとされています。
働く人の熱中症を早く見つけるために、作業中に責任者が見回ったり、2人組になって互いの体調を確認し合ったり(バディ制)、特別な機器(ウェアラブルデバイス)で体調の変化を管理したりする方法が推奨されています。
熱中症が疑われる症状には、めまい、筋肉痛、頭痛、吐き気、体がだるいなどがあります。もし、熱中症の疑いがある人が見つかったら、暑さの指数や作業時間に関係なく、事前に決めた手順に従ってすぐに対応することが非常に大切です。
対応としては、涼しい場所に移動させる、体を冷やす(水をかける、アイスバスなど)、水分や塩分を補給させるなどが含まれます。対応に迷う場合は、専門機関や医療機関に相談することも推奨されています。
子供の熱中症が疑われる場合、どのように対応したらいいですか?
体をしっかり冷やし、水分補給をしましょう。
1. 涼しい場所に移動する
クーラーが効いた部屋など、涼しい場所になるべく早く移動します。
2. 体を冷やす
服をゆるめ、アイスパックなどで首・わきの下・太もものつけねといった血流の多い箇所を冷やします。
また、濡れタオルや霧吹きで体をぬらし、扇風機などで風を当てるのも効果的です。
3. 水分補給を行う
水分だけでなく塩分も含まれているものを与えることが望ましいです。
摂取の目安は以下のとおりです。
乳幼児の場合
母乳・ミルクやアクアライトORS®️を、
- 乳児なら30〜50ml/kg/日
- 幼児なら300~600ml/日
学童より大きい子の場合
OS-1®️など経口補水液を500〜1000ml/日
子供が熱中症かどうか判断する方法を教えてください。
体温の上昇や、汗やおしっこの量に注目して判断します。
自分で症状を訴えられない子どもの場合、以下の兆候から熱中症を疑います。
- 熱が出ている
- 汗を全然かかなくなった
- おしっこが全然出なくなった(6時間以上トイレに行かない、おむつのおしっこの量が明らかに減っている、など)
- ぐったりしている
また、自身で症状を訴えることができる場合は、以下の症状がある場合も疑います。
- めまい
- 立ちくらみ
- 筋肉痛
- こむら返り(足などがつること)
- 頭痛
症状や兆候が見られる場合は、内科を受診しましょう。
体温を下げるのに効果的な方法を教えてください。
クーラーの効いた室内などの涼しい環境に移動し、氷水などを使って全身を冷やします。
まずはクーラーの効いた室内などの涼しい環境に移動します。
そのうえで、氷水入りのアイスパックなどを体に当てたり、霧吹きなどで体に水を吹きかけたりして、積極的に全身を冷やします。
とくに脇は血流が多いため、脇にアイスパックを挟むと効率よく体温を下げることができます。
熱中症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「熱中症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- エアコンのない室内または日差しの中での滞在が直前にありましたか?
- けいれん発作がありましたか?
- 最近、立ちくらみがしますか?
- 体のだるさはありますか?
- 吐き気や嘔吐がありますか?
熱中症に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
- 更新日
- 2026/06/15
- 公開日
- 2020/09/03
