快便なのにお腹が張る
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ヨーグルトを食べるとお腹が張る場合、次のような原因が考えられます。

乳糖不耐症

ヨーグルトに含まれる乳糖を分解する酵素の働きが弱いと、乳糖を十分に消化・吸収できません。未消化の乳糖は大腸で腸内細菌により発酵され、ガスが発生しやすくなります。その結果、ガスが腸にたまることでお腹の張りや不快感を感じることがあります。

過敏性腸症候群

腸の動きの異常や腸内の刺激に対する過敏性があるため、ヨーグルトの成分で腸内でガスが発生したり、腸内環境が変化することでお腹の張りを感じることがあります。

小腸内細菌異常増殖症

通常はほとんど細菌が存在しない小腸で、細菌が異常に増えることで、ヨーグルトに含まれる糖類などが発酵され、大量のガスが発生しやすくなります。

これらの要因が複数関与している場合もあります。症状が続く場合や気になる症状があれば、消化器内科を受診しましょう。

タンパク質を摂るとお腹が張る理由としては、次のような原因が考えられます。

腸内細菌によってガスが作られる

未消化のタンパク質が大腸で発酵されることでガスが発生し、ガスが腸に溜まることでお腹の張りや不快感が生じることがあります。特に、過敏性腸症候群は腸内の刺激に対して敏感になっているため、少しガスがたまっただけでお腹の張りを強く感じやすいです。

消化に時間がかかる

タンパク質を多く含む食事は消化に時間がかかり、胃や腸をスムーズに流れずに滞留することがあります。これにより胃腸の内容物がたまると、お腹の張りや重苦しさなどの症状が現れます。

タンパク質を摂ることでお腹が張るかどうか、お腹の張りの程度などは個人差が大きいです。

また、お腹が張る背景として、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、食物不耐症などの病気が隠れていることがあります。

症状が続く場合や気になる症状があれば、消化器内科を受診しましょう。

オートミールには水溶性と不溶性の食物繊維が豊富に含まれており、これらの食物繊維は消化されにくく、腸内細菌によって発酵されることでガスが発生します。

このガスが腸内にたまることで、お腹の張りや不快感が生じることがあります。特に、次のような方では、症状が起こりやすくなります。

過敏性腸症候群

腸が刺激に敏感で、ガスによるお腹の張りを強く感じやすい

便秘症

腸の動きが低下し、ガスや便がたまりやすい

対処法としては、食べる量を調整したり、体に合わないと感じた場合は別の食べ物で代用するなどの方法があります。

お腹の張りと吐き気がある場合、さまざまな原因が考えられます。

機能性ディスペプシア

胃や腸に明らかな異常がないにも関わらず、みぞおちの不快感やお腹の張りが慢性的に続く病気です。人によっては吐き気や痛みなどの症状もあらわれます。

過敏性腸症候群

腸に明らかな異常がないにも関わらず、お腹の張りや痛み、便秘や下痢などの症状が慢性的に続く病気です。症状には個人差が大きく、吐き気、倦怠感、胸やけなどの症状が起きることもあります。

慢性便秘症

便がスムーズに出せない状態が続くことで腸内に便やガスがたまり、お腹の張りや吐き気を感じることがあります。重度の便秘では腸閉塞になり、強い吐き気や嘔吐、腹痛などの症状があらわれます。

胃炎や消化性潰瘍

胃の痛みや張り、吐き気などの症状が起きることがあります。NSAIDs（痛み止め）やピロリ菌感染が胃炎や消化性潰瘍のリスクと考えられています。

急性胃腸炎

ウイルスや細菌感染によるもので、吐き気やお腹の張りだけではなく、下痢を伴うことが多いです。

逆流性食道炎

主な症状は、胸やけや酸っぱいものがこみあげる（呑酸）などの症状です。お腹の張り、声のかすれ、慢性的なせき、睡眠障害などの症状がおきることもあります。

症状が続く場合や気になる症状があれば、自己判断せずに消化器内科を受診しましょう。

みぞおち付近の痛みを伴うお腹の膨満感は、複数の原因が考えられます。まず、症状が比較的急に起こり、痛みが強い場合には、医療機関への受診をおすすめします。

胆嚢炎や虫垂炎、膵炎など、お腹の内臓に異常が発生し、急を要する可能性があるためです。痛みが徐々に強くなる場合は特に注意が必要です。

一方で、同様の症状が以前からあり、比較的軽度で悪化のない場合には、それほど急を要さない慢性疾患の可能性があります。具体的には逆流性食道炎や機能性ディスペプシアといったお腹の病気では、そのような症状を起こします。

症状が軽度であれば、暴飲暴食を避け、規則正しい食事を摂る、適度な運動をする、などといった生活習慣の改善で経過を見てもよいでしょう。症状が続く場合には消化器内科を受診しましょう。

お腹の張りのガス抜きに対して、特効薬のような飲み物はありませんが、ハーブティーなどは症状を改善する可能性があります。

ペパーミントティーは過敏性腸症候群の症状を改善する可能性があると言われており、お腹の張ったような感じを楽にしてくれる可能性があります。

また、白湯（ぬるま湯）を少しずつ飲むというのも便秘に効果的ですし、胃腸に負担を与えないため、よいかもしれません。

飲み物のほかに、暴飲暴食を避ける、適度な運動をする、十分な睡眠を取り、ストレスのケアをする、といった生活習慣の見直しも、症状を改善する可能性があります。

小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質を総称してFODMAPと言います。
FODMAPが多く含まれる食品をとると、腸内ガスが多量に産生されて、お腹にガスが溜まりやすくなります。
高FODMAP食品には、上記以外に、小麦、いも類、乳製品などがあります。 

胃が張るような膨満感を引き起こす生活習慣としては、主に以下のものが挙げられます。

• 暴飲暴食
• 不規則な食生活
• おしゃべりやストレスなどによる呑気症（空気を飲み込んでしまうこと）

膨満感が生じる病気としては、以下の3つの頻度が高いと言われています。
また、胃炎や胃潰瘍、胃がんなど胃腸自体に問題があることで、膨満感を感じることがあります。

慢性便秘症

便が十分に、かつ快適に排出できない状態が慢性的に続くことです。

機能性ディスペプシア

胃カメラの検査で明らかな原因がないにもかかわらず、膨満感や食後のもたれ、胃の痛みなどの症状が慢性的に続く病気です。

過敏性腸症候群

大腸に炎症やがんなどの異常がないにもかかわらず、膨満感や痛み、便秘、下痢などの症状が慢性的に続く病気です。

安定期においても子宮筋の収縮に伴うお腹の張りを感じることがあり、ブラクストン・ヒックス収縮と呼ばれています。
ブラクストン・ヒックス収縮には以下のような特徴があるとされています。

ブラクストン・ヒックス収縮の特徴

• 痛みを伴わない程度の張り
• 子宮の一部のみが硬くなる
• 頻度や強さが不規則
• 活動後や排尿前などに感じやすい

ブラクストン・ヒックス収縮は、正常な妊娠経過においても認められるものですが、以下のような症状がある場合には、早産のリスクが高い、あるいは胎児の状態が悪化している可能性があります。

早産のリスクが高い、あるいは胎児の状態が悪化している場合

• 規則的な痛みを感じる
• 出血、破水感を伴う
• 胎動が明らかに減少している、あるいは胎動を感じない

上記に該当する場合は、早期にかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

軽い症状であれば、正常の妊娠でもよく見られる症状であり、基本的には休養をとることで経過をみるとよいでしょう。
ただし、出血がある場合や、痛みを感じる場合には切迫流産の可能性があるので、かかりつけの産婦人科医と相談するようにしてください。

お腹が全体的もしくは部分的に張って苦しくなる症状を「お腹の張り」もしくは「腹部膨満感」と呼びます。
お腹が実際に膨れる場合もあれば、見た目は膨れていないものの張って苦しく感じる場合もあります。
吐き気や便秘、下痢を伴うこともあります。

お腹が張って中が動く感じがする場合、考えられる原因はさまざまです。

過敏性腸症候群

腸に明らかな異常がないにも関わらず、お腹の張りや痛み、便秘や下痢などの症状が慢性的に続く病気です。腸の動きの異常や腸内の刺激に対する過敏性があるため、お腹の張りや不快感などを感じることがあります。

慢性便秘症

便がスムーズに出せない状態が続くことで腸内に便やガスがたまり、お腹の張りの原因となります。また、たまった便やガスを排出しようと腸が動くことで、痛みや不快感を感じることがあります。

腸閉塞（イレウス）

腸の内容物がうまく肛門側に流れなくなり、腹痛、吐き気、お腹の張りなどの症状があらわれます。特に、物理的に腸の内容物が通らなくなってしまった「機械的イレウス」では、腸が活発に動くことで痛みや不快感を感じることがあります。

お腹の張りはよくある症状ですが、病気が隠れていることもあります。症状が続く場合や気になる症状があれば、自己判断せずに消化器内科を受診しましょう。

お腹が張って重い感じがする場合、考えられる原因はさまざまです。

機能性ディスペプシア

胃や腸に明らかな異常がないにもかかわらず、みぞおちの不快感やお腹の張りが慢性的に続く病気です。
ストレスや生活習慣、胃の運動機能の低下が関係していると考えられています。

過敏性腸症候群

腸に明らかな異常がないにもかかわらず、お腹の張りや痛み、便秘や下痢などの症状が慢性的に続く病気です。
ストレスや生活習慣、自律神経の乱れが関与していると考えられています。

慢性便秘症

便がスムーズに出せない状態が続くことで腸内に便やガスがたまり、お腹の張りや重苦しさを感じることがあります。

腹水

まれですが、肝硬変や進行したがん（胃がん、大腸がん、卵巣がんなど）によってお腹に水がたまり、お腹の張りや重苦しさを感じることがあります。以下のような症状を伴う場合は注意が必要です。

• 痛みがある
• 白目や皮膚が黄色い
• 便が黒い、または赤い
• めまいやふらつきなどの貧血症状がある
• 数か月間にわたり体のだるさ、食欲低下が続いている
• ダイエットをしていないのに6～12か月で5%以上体重が減った

お腹の張りはよくある症状ですが、病気が隠れていることもあります。症状が続く場合や気になる症状があれば、自己判断せずに消化器内科を受診しましょう。

心臓や肺がある「胸腔」と、胃や大腸がある「腹腔」の間には、「横隔膜」という筋肉があります。

機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群の患者さんでは、この横隔膜やお腹の筋肉の動きがアンバランスになることで、お腹が張って苦しくなったり、息苦しさが起きることがあります。

その背景には、次のような要因が関与していると考えられています。

• 腸内細菌叢の異常
• 消化管の運動障害
• 炭水化物の吸収障害
• 呑気症（空気を飲み込んでしまう）
• 内臓過敏症（少しの刺激でも過敏に反応する）

こうした複合的な要因により、お腹の張りや息苦しさなどの症状が起きることがあります。

自律神経の乱れは、胃腸の動きや感覚に影響を与え、お腹の張りや不快感を引き起こすことがあります。

自律神経とは、私たちの意思とは関係なく、体のさまざまな働きを自動的（自律的）に調整している神経です。胃や腸の運動、血流、消化液やホルモンの分泌なども、自律神経によってコントロールされています。

しかし、ストレスや不規則な生活、睡眠不足などが続くと、自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きが弱まったり、食べ物やガスが腸にたまりやすくなることで、お腹の張りや不快感を感じることがあります。

また、腸にたまったガスや内容物が少量でも、過剰に不快感や痛みとして感じてしまう「内臓知覚過敏」は、自律神経の乱れやストレスが関与していると考えられています。

夜になるとお腹が張るという場合、原因としては複数の原因が考えられます。

まず、特定の病気ではなく、単にガスが溜まってお腹が張っている可能性があります。炭酸飲料や、豆類など食物繊維の多い食品によって、お腹の中でガスが発生していることもあり、そのような場合には、食習慣の見直しが症状の改善に有効です。

その他に、胃腸の病気で症状が出ている可能性も否定できません。症状が毎日起こるのであれば、胃炎や逆流性食道炎、機能性ディスペプシアのような慢性疾患の症状として、お腹の張りを感じているかもしれません。

まれではありますが、胃がんや大腸がんのような重大な病気が背景に隠れている場合もあり、特に体重減少や血便などの随伴症状がある場合には、消化器内科を受診し、原因を詳しく調べることをおすすめします。

お腹の張りと気持ち悪さがある場合には、無理に食べずに安静にしましょう。

そのような症状の原因としては複数の可能性があり、胃炎や胃腸炎のほか、機能性ディスペプシアのような機能性疾患の可能性や、腸閉塞、虫垂炎、胆嚢炎など緊急性のある病気の初期症状である場合もあります。

強い痛みがある場合や症状が悪化していく場合には、早急に医療機関を受診し、原因を調べることをおすすめします。

症状が軽い場合には、無理に食事を摂らず、安静にすることをおすすめします。食事を止めて胃腸の安静を図ることは、多くの場合有効です。水分摂取はしっかりと行いましょう。症状が長引く場合には、やはり消化器内科などを受診しましょう。

お腹が張って腸が腫れている感じがする場合、考えられる原因はひとつではありません。

お腹の張りはよくある症状ですが、「腸が腫れている感じがする」という症状を訴える患者さんは多くないため、それがどのような症状を指すのか確かめる必要があります。お腹の違和感であるのか、痛みであるのかによっても想定される原因は違ってきます。

強い痛みや張り、吐き気や発熱などの随伴症状がある場合には、虫垂炎、憩室炎、胆嚢炎、膵炎などの急性腹症である可能性があり、血液検査やＣＴ検査などで原因を速やかに確かめる必要があります。

症状がそれほど強くない、違和感程度である場合には、胃炎、逆流性食道炎、機能性ディスペプシアなどの慢性疾患である可能性があり、必ずしも緊急ではありませんが、消化器内科を受診し、胃カメラや超音波検査などで原因を調べることをおすすめします。

お腹の左側だけが張って膨らんでいる場合、原因としては複数の可能性があります。お腹の左側には、大腸の一部（下行結腸、S状結腸）、腎臓などの臓器があり、それらの問題で症状が起こっている可能性があります。

痛みがない場合、例えば便秘によって、下行結腸に偏って空気が溜まった結果、お腹の左側だけに張りを感じている可能性があります。

痛みがある場合には、さらに複数の可能性があります。大腸の問題であれば、憩室炎で大腸に炎症が起きた結果、痛みや張りを感じている可能性が挙げられます。

そのほかに、左側の尿管結石でお腹の張りを感じているということもありえます。また、卵巣など婦人科系の問題で症状が起きている可能性も否定できません。

このように、お腹の左側が張っている場合、原因としては複数の可能性があります。症状が続く場合や痛みを伴う場合には、早急に医療機関を受診し、原因を調べることをおすすめします。

お腹の右側だけが張って膨らんでいる場合、複数の可能性があります。お腹の右側には大腸の一部（上行結腸）、肝臓、胆嚢、虫垂といった臓器があり、それらの問題で症状が起こっている場合があります。

痛みがない場合には、便秘などの影響で上行結腸に空気が溜まり、右側に偏って張っている可能性があります。

痛みがある場合には注意が必要です。例えば、胆嚢炎や虫垂炎などのお腹の炎症により、痛みや張りを感じている可能性があります。

また、なんらかの原因で大腸の一部が詰まり、腸閉塞となっている場合にも、そのような症状として感じる可能性があります。

いずれも急を要する病気であり、特に痛みが徐々に悪化する場合、嘔吐や発熱などの随伴症状を伴う場合には、早急に医療機関を受診しましょう。

上腹部の張りにはさまざまな原因があります。例えば、機能性ディスペプシアでは、胃の運動機能の低下、知覚過敏によってお腹の上のほうに張りを感じます。

逆流性食道炎や胃炎は、胃もたれや灼熱感を訴える方が多いですが、お腹の張りを感じる方も珍しくありません。

特定の病気でなくても、暴飲暴食やアルコール、カフェインの摂取で、一時的に胃が荒れている場合にも、そのような症状を感じる場合があります。

症状が軽ければ、数日様子を見ていても多くは問題ありません。症状が続く場合や徐々に悪化する場合には、消化器内科を受診し原因を調べることをおすすめします。

逆流性食道炎によって、お腹の張りを感じる方は珍しくありません。これにはいくつかの可能性があります。

ひとつは、逆流性食道炎で感じる、胸が焼けるような灼熱感を、お腹が張ったように感じているという可能性です。そのほかに、逆流性食道炎の一部の患者さんでは、胃の運動機能が低下していることがあります。

そのような方では、胃の中身の排出が遅れることや、胃の神経の知覚過敏によって、お腹の張りを強く感じることがあります。

症状の改善には、逆流性食道炎自体の治療が有効であり、食後すぐに横にならない、暴飲暴食を避けるといった生活習慣の見直しのほか、胃薬の内服も有用です。

胃腸炎のときにお腹が張るのは、腸が炎症により動きが悪くなるためです。胃腸炎では嘔吐や下痢の症状が一般的ですが、お腹の張りを感じる方も珍しくありません。

胃腸炎で腸に炎症が起こると、腸の蠕動運動が低下し、動きが悪くなる場合があります。それによって腸の内容物が停留し、お腹の張りを感じることがあります。

また、胃腸炎では腸内環境も一時的に乱れるため、腸の中でのガス産生が一時的に増えることもあり、それがお腹の張りを引き起こすこともあります。

胃腸炎では基本的に、脱水の予防と腸の安静が重要です。水分は十分に摂取し、食事はおかゆなど胃腸に優しいものを摂取し、様子を見ましょう。

お腹が張りやすい人の特徴として、まず考えられるのが食習慣です。早食いや豆類などの食物繊維を多く含む食品を摂る方では、ガスが溜まりやすい傾向があります。

そのほかに、呑気症といって無意識に空気を飲み込んでしまう場合も、張りを感じる原因となります。

過敏性腸症候群の患者さんでは、ストレスなどの影響で神経が過敏になり、お腹の張りを強く感じます。

運動は腸の動きを促進するため、運動不足の人も腸の蠕動運動が低下し、お腹の張りを感じる原因となる可能性があります。

お腹が張りやすいと感じる方は、これらの食習慣、生活習慣を一度確認するとよいでしょう。

お腹の張りにはさまざまな原因が考えられます。便秘も可能性のひとつですが、便秘がない場合でも、お腹の張りの原因となる病気は数多くあります。

危険性の低いものとしては、無意識に空気を飲み込んでしまう呑気症では、腸に空気が溜まり、張りを感じることがあります。

また、過敏性腸症候群では、腸の神経過敏によりお腹の張る感じをより強く感じます。女性であれば、ホルモンバランスの変化によって、一時的にお腹の張りを感じている可能性もあります。

これらのほかに、まれではありますが、大腸がんなどの重大な病気によって、お腹の張りが生じている場合もあります。体重減少や血便などの症状がある場合には放置せず、消化器内科などの医療機関への受診をおすすめします。

食後にお腹が張って、おならやゲップが出ることは生理的な現象であり、それほど心配はいらない場合がほとんどです。ゲップやおならは、胃や腸の空気を身体の外に出す生理的な現象であるため、それだけでなんらかの病気とは限りません。

おならやゲップがあまりに多い場合には、無意識に空気を飲み込んでいる呑気症や、食べたものが腸内でガスを発生している可能性があります。そのほかに、胃腸の神経が過敏になり、お腹の張りを強く感じている可能性も否定できません。

お腹が張るにもかかわらず、おならや便がまったく出ない場合や、腹痛、吐き気を伴う場合には、腸閉塞など緊急性のある病気の可能性もあるため、医療機関への受診をおすすめします。

すぐ満腹になり、お腹が張る感じを早期膨満感と言い、機能性ディスペプシアでよくみられる症状です。機能性ディスペプシアでは胃の神経が過敏になり、動きがうまくいかなくなる結果、食べてすぐにお腹が張る症状が出現します。

ただし、このような症状は機能性ディスペプシアのほかにもさまざまな病気で起こっている可能性があります。胃炎や胃潰瘍、胃がんなど、他の病気でも珍しくない症状であり、胃カメラの検査などでこのような器質的な病気がないかを確認することも大切です。

症状が続いてつらい場合には、消化器内科の受診をおすすめします。特に体重減少、血便などの症状も伴う場合には早急に受診しましょう。

食べていないのにお腹の張りを感じる場合、複数の可能性があります。

比較的多いのは、単に腸にガスが溜まって張りを感じる場合です。食べたものが腸でガスを発生させている場合や、無意識に空気を飲み込んでガスが溜まる（吞気症）場合もあります。

その他に、ストレスや神経の乱れで腸の神経が過敏になる過敏性腸症候群では、お腹の張りを本来より強く感じ、つらいことがあります。

また、腸閉塞など、急を要するものである可能性もあります。腸閉塞では通常、嘔吐や腹痛も伴うため、そのような症状がある場合には、早急に医療機関を受診しましょう。

仰向けで寝るとお腹の張りを感じることがあるかもしれません。例えば、座った姿勢や立った姿勢では、食べたものは重力によって足の方向に引かれます。

しかし、仰向けでは背中方向に引かれるため、相対的に、胃の入り口や十二指腸の入り口などで、食べ物が通常と逆方向へ向かう圧力が強くなります。

そのため、食事の直後に仰向けになると、お腹が張って逆流するような感じがあるかもしれません。

逆流性食道炎を防ぐ意味でも、特に食事をしてから数時間は仰向けにならず、座った姿勢で過ごすよう心がけることをおすすめします。

急にお腹が張る場合の多くは一時的な腸のガスだまりですが、痛みを伴う場合などには、緊急性のある病気の可能性もあります。

例えば暴飲暴食や、炭酸飲料、食物繊維などガス産生の多い食事を摂ったあとには、お腹の張りを感じることがあります。そういった場合であれば、特別な対応は必要なく、時間が経てば症状は徐々に改善していく可能性が高いです。

一方、腹痛、嘔吐などそのほかの症状を伴う場合、腸閉塞など緊急性のある病気の可能性も否定できません。

腸閉塞では食べ物の通り道である腸が、なんらかの原因で詰まってしまい、吐き気や強いお腹の張りを感じます。腹痛や嘔吐を伴う場合が多いため、症状が急速に発生し、そういった症状がある場合には、早急に医療機関を受診してください。

寝起きにお腹が張るという方は、一定数いらっしゃいます。症状の原因としては、複数の可能性が考えられます。まず、生活習慣によるものである可能性があります。

寝ている間に無意識に飲み込んだ空気が腸に溜まっている場合や、炭酸飲料、食物繊維の多い食品の摂取により消化管にガスが発生しやすくなっている可能性などがありますが、このような場合には、それほど心配する必要はありません。食習慣や生活習慣の見直しで症状の改善が期待できます。

一方、消化管の機能的な問題である可能性もあります。毎朝張りが強くつらい場合や、痛みを伴う場合には、過敏性腸症候群のような消化管の病気も考えられます。

また、まれではありますが、大腸がんのような重大な病気の症状である場合もあります。症状が続く場合には、消化器内科などの医療機関の受診を検討しましょう。

下腹部の張りは、腸、膀胱、子宮など骨盤内の臓器の問題である可能性があります。頻度が高く危険性の低いものとしては、大腸にガスがたまり、お腹が張る症状を引き起こす場合です。

お腹の蠕動運動が少ないことが、こういった張りや便秘の原因になっている場合があり、適度な運動やお腹のマッサージが有効なこともあります。

その他に、膀胱の症状であることもあります。前立腺肥大などの病気で尿が出づらくなり、尿閉となってしまうと、膀胱に多量の尿が貯まることで下腹部の張りを引き起こすことがあります。この場合、通常は下腹部の痛みも伴います。

さらに、子宮や卵巣などの病気である可能性もあります。子宮筋腫や卵巣腫瘍などで下腹部が充満し、お腹の張りを引き起こすこともあります。

下腹部の張りは、このようにさまざまな要因がありえます。症状が軽度で、一時的なものであればそれほど心配ありませんが、長引く場合や、腹痛、発熱、吐き気など、そのほかの症状も伴う場合には医療機関を受診し、原因を調べることをおすすめします。

胃が張る場合、生活習慣の改善で、ある程度症状の緩和が期待できます。

まず、食事の工夫が挙げられます。暴飲暴食を避けて胃を休め、腹八分目を心がけましょう。適度な運動も消化管の運動を促進し、お腹の張りを改善する可能性があります。ストレスはお腹の張りをより強く感じさせることがあるため、十分な睡眠を取るなど、ストレスのケアを心がけましょう。

これら生活習慣の改善によっても症状が改善しない場合、治療が必要な病気が隠れている可能もあるため、消化器内科への受診をおすすめします。早めに消化器内科を受診し、適切な治療へつなげることが大切です。

生理前のお腹の張りは、月経前症候群（PMS）の症状としてよくみられます。生理前にはホルモンバランスの変化によって、お腹の動きが鈍くなるため、便秘になったり、お腹にガスがたまって張る感じがあるという症状を引き起こします。

根本原因はホルモンの変動であるため、症状を完全になくすことは難しいですが、いくつかの対策が考えられます。

まず、食生活の工夫があります。暴飲暴食を避け、規則正しい食事を心がけましょう。ストレスや睡眠不足はお腹の症状の感じ方を悪化させるため、十分な睡眠を取り、ストレッチや深呼吸をするなど、ストレスのケアを心がけましょう。

生理前のお腹の張りは、ある程度自然な現象ですが、日常生活に支障が出るほどであれば、我慢せず婦人科を受診しましょう。

お腹が張って苦しいという場合、症状の程度に応じて必要な対応は異なります。症状がそれほど強くなく、その他の症状がない場合には、楽な姿勢をとり、しばらく様子を見てもよいでしょうでしょう。お腹のガスによる一時的な症状であれば、安静によって改善が期待できます。

一方で、張りが非常に強い場合や、腹痛、発熱など、その他の症状も伴う場合には、早期に医療機関を受診したほうがよいこともあります。腸閉塞や腹膜炎といった緊急性のある病気では、強いお腹の張りや痛みを感じます。原因によっては緊急で手術が必要となる場合もあります。

食後にお腹が張る症状に対しては、生活習慣の改善である程度対処が可能です。

まず、暴飲暴食を避け、規則正しい食事を心がけましょう。食後すぐには横にならず、しばらくは座位や立位でいることをおすすめします。また、適度な運動は消化管を刺激し、お腹の動きをよくするため推奨されます。

お腹を「の」の字を書くように撫でる腹部マッサージも、お腹の運動を改善させることがわかっています。また、ストレスは時に胃の運動を鈍くし、張りの原因となります。十分な睡眠を取り、ストレスのケアをすることも大切です。

これらの対策を行っても症状が改善しない場合や、痛みを伴う場合には、内臓の問題で症状が起こっている可能性があります。症状が続く場合には消化器内科を受診し、検査で原因を調べることをおすすめします。

胃の運動機能が低下している場合、少量の食事でもお腹が張るように感じる場合があります。これは機能性ディスペプシアという病気で、しばしばみられる症状です。ひと口、ふた口でお腹いっぱいに感じてしまう、早期膨満感と呼ばれる症状です。

この病気では胃の運動が低下し、食べたものが胃から腸に送り出されるまでに、通常よりも時間がかかってしまうと考えられています。そのほかに、胃の神経が過敏になっており、少し食べただけで胃がいっぱいになっているように感じてしまいます。

消化管運動機能改善薬と呼ばれる飲み薬で、胃の運動を適正化することで症状の改善を期待できます。

また、下腹部に張るような感じがある場合、腸の蠕動運動がゆっくりであるために、大腸にガスがたまっている可能性もあります。

症状が軽度であれば、暴飲暴食を避け、規則正しい食生活を心がける、適度な運動をするなどの生活習慣の改善でも症状の緩和が期待できます。症状が長引く場合には、上に挙げたような内服薬もあるため、消化器内科への受診をおすすめします。

下腹部が張る原因としては、さまざまな可能性があります。女性特有の原因としては、まず月経周期に伴う症状や、妊娠によるものがあります。

月経前になると、ホルモンバランスの変化でお腹の動きが悪くなり、便秘になったり、お腹の張りの原因となる場合があります。また、妊娠中もホルモンの影響で、同様に便秘やお腹の張りを感じる場合があります。

これらの生理的な症状のほかに、婦人科系の病気でも下腹部が張る場合があります。卵巣腫瘍や子宮筋腫など、婦人科系の腫瘍でお腹が圧迫され、張りの原因となっていることがあります。

明らかに下腹部が張る場合や、お腹に硬いものが触れる、腹痛があるといった場合には、婦人科の受診をおすすめします。

女性には、男性にない生理現象や病気があり、それが腹部の張りを引き起こすことがあります。

例えば、ホルモンバランスの変動が挙げられます。生理前になると黄体ホルモンの作用で腸の働きが低下し、便秘やガスのたまりが起こりやすくなります。その結果、下腹部の張りや膨満感を感じる患者さんは少なくありません。

妊娠もお腹の張りの原因になります。妊娠初期からホルモンの影響で腸蠕動が鈍くなるため、同様に便秘とガスによる張りが起こりやすくなる場合があります。

その他に、卵巣腫瘍や子宮筋腫など、婦人科の腫瘍性病変がお腹の張りを引き起こすこともあります。腫瘍自体の大きさや圧迫で便秘、ガスを生じ、二次的に張りをきたす場合もあります。

このように、女性特有のホルモン変化や臓器の問題が症状の原因であることがあります。症状が持続する場合や、明らかな下腹部の膨隆がある場合、痛みを伴う場合などには、婦人科への受診をおすすめします。

男性特有のお腹が張る原因としては、いくつかの可能性があります。しかし、女性と比べて明確に男性特有という原因は多くありません。

男性に比較的多いのが、内臓脂肪による腹部膨満です。男性は女性に比べて内臓脂肪型肥満になりやすく、お腹周りに脂肪がつきやすい傾向があります。その結果、内臓脂肪によってお腹が張るという場合があります。

そのほかに男性特有の原因として、尿閉があります。特に高齢の男性では前立腺肥大になる方が多く、悪化すると尿が出なくなり、膀胱に尿が過剰にたまり尿閉となります。そのような場合には下腹部の痛みも伴うことが一般的です。

お腹が張って痛みがある場合、原因としてはさまざまな可能性があります。症状の強さや出現するまでの時間経過が大切です。

症状が軽度で、しばしばあるような場合には、腸にガスが溜まっている場合や、便秘など、急を要さない原因である可能性があります。

一方で、症状が突然で、強いお腹の痛みを伴う場合、緊急性のある病気の可能性もあります。具体的には、腸閉塞で腸が詰まってしまい、張り、痛みをきたしている場合や、腹膜炎になって強い痛みが出ている場合もあります。

腸閉塞や腹膜炎では緊急の手術が必要な場合もあるため、痛みが強い場合や徐々に悪くなる場合、発熱、嘔吐などの随伴症状も伴う場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

食後にガスがたまってお腹が張る場合の対処法としては、食べ方の工夫や軽い運動をおすすめします。食事はよく噛んでゆっくりと食べましょう。また、一度に大量に食べず、腹八分目で抑えると胃腸への負担も軽くなります。

食後はすぐに横にならず、しばらくは座位や立位で過ごしましょう。また、適度な運動は腸を刺激し、お腹の動きをよくすることで、ガスがたまってお腹が張るという症状を改善する可能性があります。

これら生活習慣の改善を行っても症状に改善のない場合には、内臓の病気によって症状が起こっている可能性もあるため、医療機関を受診することをおすすめします。

妊娠中はホルモンの影響で腸の蠕動運動が弱くなり、便秘になったり、ガスが溜まりやすくなります。その結果、お腹の張りを感じる妊婦さんは少なくありません。

対処法としては、食事内容の見直しや軽い運動をおすすめします。食事は、食物繊維と水分をバランスよく摂り、便秘を予防することが大切です。野菜や海藻、発酵食品などを適度に取り入れ、腸内環境を整えましょう。

妊娠経過に問題がなければ、医師の許可のもと、軽い運動をしましょう。適度な運動は腸に刺激を与えて、ガスや便を動かすのに役立ちます。

妊娠中のお腹の張りは珍しい症状ではありませんが、強い腹痛を伴う場合には切迫早産など、急を要する可能性もあります。激しい痛みがある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

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食後にお腹がパンパンに張る、という症状がある場合、食べ物によって物理的にお腹が押されている場合や、胃の機能性疾患の可能性があります。

多量に飲食した直後であれば、食べたものによって胃が膨らむため、お腹がパンパンに張るのは不思議ではありません。すぐに横になることは避け、安静に過ごしましょう。

一方で、少ししか食べていないのに、いつも食後にお腹がパンパンに張るという場合、お腹の機能性疾患である可能性があります。これは、お腹の神経が過敏になることで、少しの胃の張りでも強い膨満感を感じ、苦しくなるというものです。

消化管運動機能改善薬で症状がよくなる場合があるため、症状に心当たりがある場合には、消化器内科を受診しましょう。

まれではありますが、胃がんなど重大な病気による症状である場合もあるため、必要に応じて胃カメラやCT検査などで原因を調べる場合もあります。

アルコールを飲むと、お腹がパンパンに張るという経験をした方は多くいらっしゃるかもしれません。ビールやハイボールなど、炭酸を含む酒類では、これらを飲むことで胃腸に炭酸ガスが発生し、お腹が張る原因となります。

アルコールを多量に飲んだ場合には、飲料自体が胃腸に蓄積することで、膨満感の原因になりえます。そのほかに、お酒を飲むと食欲が増進しがちです。普段より多く食べることで余計にお腹が張ることになります。

過度な飲酒や暴飲暴食は、胃腸や肝臓、膵臓に負担を与えます。暴飲暴食を避け、規則正しい食生活をおすすめします。

お腹が張る原因としては、ガスの貯留、便秘、腫瘍、妊娠、肥満など、さまざまなものが考えられます。単に内臓脂肪による場合や、腸に一時的にガスがたまっているに過ぎない場合もあります。

一方で、腹水やお腹の腫瘍などでお腹が張っている場合には、腹部超音波検査やCT検査のような画像検査で原因を調べ、必要に応じて治療を行います。

特に、突然症状が出現した場合や、発熱や腹痛のような随伴症状を伴う場合には急を要する可能性があり、早めに消化器内科を受診することをおすすめします。

お腹の張りや違和感が長く続く場合、まず自分でできる対処としては、生活習慣の見直しを検討しましょう。

暴飲暴食を避け、消化によい規則正しい食事を心がけましょう。適度な運動も、腸の動きをよくするため、ガスによる張りであれば改善する可能性があります。

また、ストレスもそういった腹部症状と関連する場合があるため、十分な睡眠やリラックスでストレスのケアをすることも大切です。

これらの対策を行っても症状に改善のない場合や、痛みを伴う場合には、内臓の病気によって症状が起こっている可能性もあるため、消化器内科への受診をおすすめします。必要に応じて画像検査などで原因を調べます。

腹部膨張とは、お腹が張って容積が増した状態を指すと思われます。医学用語としては、「腹部膨張」という用語はあまり用いられません。近い言葉として、「腹部膨満」という表現はしばしば使われます。これはお腹が客観的にみて張って突出した状態です。

腹水や腫瘍など、なんらかの病気によって起こっている場合もあれば、内臓脂肪の蓄積や、腸に一時的にガスがたまった状態など、それほど危険性の大きくない状態である場合もあります。必要に応じて、X線検査や腹部超音波検査、CT検査などの画像検査で原因を調べることがあります。

腹部膨隆とは、お腹が見てわかるほど膨らみ、突出している状態を指します。腹部膨隆は医学的な用語で、お腹の他覚所見、すなわちお腹の診察によってわかる所見です。正常であれば、腹部は平坦であるため、何らかの異常によって膨隆している可能性があります。

単に内臓脂肪によって膨らんでいるだけのこともありますが、例えば、腹水（お腹に液体がたまること）や、腸のガスが過剰になること、お腹の腫瘍、妊娠など、さまざまな原因が考えられます。

そのため、必要に応じて腹部超音波検査やCT検査、X線検査など、画像検査で原因を調べる場合があります。

腹部緊満感とは、お腹の中の圧力が高まり、お腹が硬く張ったように感じられる状態を指します。例えば、ガスや腹水がたまり、お腹の中がいっぱいになり、内側から強く押されるような状態になると、お腹の表面は張ったような感じになります。

実際の患者さんでは、腸にガスが過剰にたまった場合や、腹水（お腹に液体がたまる状態）で生じやすく、お腹が張って苦しい感じがあります。

単にお腹にガスがたまっただけの場合や、内臓脂肪によるものであれば緊急性はありませんが、腹痛や発熱を伴う場合には、急を要する可能性があります。これら随伴症状がある場合や、症状が強い場合には、医療機関への受診を検討しましょう。

ストレスが原因でお腹の張りを感じる可能性はあります。

お腹の張りは珍しい症状では無く、さまざまな原因で生じる可能性のある症状です。
症状がおなかの張りだけであれば、例えば「機能性ディスペプシア」という病気である可能性があります。この病気は胃の運動など「機能」の面がうまく働かず、胃もたれやお腹の張りといった症状をもたらします。
脳と腸管は密接に関連しており、生活上のストレスなどの心理社会的因子がこの病気の症状と関連することがあると分かっています。

このほかにも胃炎や逆流性食道炎、便秘症といった病気でもお腹の張りを感じることがあります。胃炎や逆流性食道炎であれば内視鏡の検査で診断できるため、症状が続く場合には、消化器内科を受診し、内視鏡検査を行うことをおすすめします。

膨満感は大腸がんの症状のひとつです。膨満感以外の主な症状としては、下記のものがあります。

• 便に血が混ざる
• 便が細くなる
• 腹痛が続く
• 理由がなく体重が減少する

また、40歳以上で肉が中心の食事の人や、たばこやお酒が好きな人は大腸がんのリスクが高まります。
これらの症状があったり、リスクが高まる生活をしている場合は、積極的に病院を受診して診察を受けましょう。

子宮筋腫でお腹の張りや痛みを感じることがあり、特に大きな筋腫ほど痛みが生じやすいとされています。
その他に子宮筋腫と関連が指摘されている合併症としては以下のようなものが挙げられ、これらの合併症のために張りや痛みを感じることもあります。

• 筋腫そのものの一時的な痛み
• 流産・早産
• 常位胎盤早期剥離（分娩前に胎盤が剥がれてしまう緊急の病気）

なお、お腹の張りは感じにくいものの子宮筋腫がリスクとなる合併症は他にもあります。

• 前置胎盤などの胎盤の位置異常
• 妊娠高血圧症候群（母体の高血圧やむくみが出る病気）

妊娠後期には、分娩に備えてお腹の張りを感じやすくなります。不規則な軽い張りの場合には通常問題ないと考えられますが、強い張りを感じる場合には以下のような病気や症状が考えられます。

陣痛

周期的な痛みを伴うお腹の張りを感じる場合には、陣痛の可能性があります。通常10分以内の間隔で規則正しい子宮収縮を認める場合に陣痛の開始と判断します。かかりつけの産婦人科に連絡しましょう。

常位胎盤早期剥離

出血が多い場合、突然強いお腹の痛みを感じた場合などは常位胎盤早期剥離という病気のこともあります。分娩前に胎盤が剥がれてしまう病気であり、母児の生死に関わる深刻な合併症です。速やかにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。急激に母児の状態が悪化することもありますので、救急車の要請も検討してください。

妊娠に伴って女性ホルモンのバランスが変わると、それが胃腸の働きに影響して、お腹が張った感じやげっぷ、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。
また、子宮の収縮や子宮が大きくなることに伴い、子宮のまわりの臓器が押されたり、子宮を支える靭帯が引っ張られるような痛みになることがあります。

妊娠に伴うお腹の張りの特徴としては、

• 下腹部にものが入っているような違和感がある
• お腹が引っ張られるような感覚を伴う
• お腹がいつもより硬く感じる

といったことが挙げられます。

なお、冷や汗が出るほどの強さの痛みや、休んでもよくならないような痛みが生じることあまりないため、注意が必要です。

これといった病気がなくても、消化器内にガスや便がたまることでお腹が張ることがあります。
また、ストレスや疲労、運動不足などで胃腸の働きが低下すると、消化器内にガスや便がたまっていなくても、お腹の張った感じや不快感が生じることがあります。
暴飲暴食などによる消化不良で、胃腸に負担がかかっている可能性もあります。

一口にお腹の張りと言っても、

• 胃や腸や子宮など、お腹の中の臓器が膨れている場合
• お腹の臓器を包んでいる腹腔（ふくくう）という空間が膨れている場合

など、張った感じを引き起こす原因はさまざまです。

胃や腸であれば、

• ガスがたまっている
• 便秘
• 胃や腸の中の炎症・腫瘍

子宮であれば、

• 筋腫
• 妊娠

腹腔であれば、

• 肝臓の病気などで水がたまっている
• 炎症が起こっている

などの原因が考えられます。

お腹のガスだまりに対して、いくつかの内服薬が使われる場合があります。例えば、腸内のガスの泡を壊してまとめる作用がある、消泡剤と呼ばれる飲み薬があります。お腹の気泡を消すことで張りを和らげます。

そのほかに、整腸剤は腸内環境を整え、異常なガス産生によるお腹の張りを改善する可能性があります。また、お腹の神経の過敏さによって症状が起こっている場合もあり、消化管の運動を適正にする、消化管運動機能調整薬で症状が改善する場合もあります。

このように、ガスがたまってお腹が張る場合、効果のある飲み薬にはいくつかの選択肢があります。こういった飲み薬は、消化器内科で処方されることが多いため、症状が気になる場合には、消化器内科への受診を検討しましょう。

お腹の張りはさまざまな原因で生じる可能性のある症状です。

症状がお腹の張りだけであれば、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎といった病気である場合が多いです。生活習慣の指導のみで改善する場合も多いですが、ピロリ菌による胃炎など、生活習慣の是正のみでは改善を期待することのできない病気で起こっている場合もあります。
また、可能性は高くないものの、胃がんのような悪性の病気で症状が起こる場合も、ないわけではありません。

内視鏡の検査はこれらの病気を調べる上で役立ちます。症状が続く場合には検査を行った方が良い状況もあるため、消化器内科を受診しましょう。

お腹の病気が関わることが多いので、消化器内科か内科を受診しましょう。
特に、吐き気や下痢など胃腸の症状を伴う場合は、消化器内科を受診すれば問題ないでしょう。

女性の方で、妊娠の可能性が否定できない場合は産婦人科を受診しましょう。

お腹の状態が普段と比べてどのように違うのか、なるべく詳しく伝えるようにしてみましょう。
具体的なポイントとしては、

• いつからどのくらい続いているのか
• どのようなとき（食後、食前など）にお腹の張りを感じるのか
• 張り以外にお腹の症状はあるのか
• お腹の痛み、下痢、血便、吐き気、便秘などがないか
• お腹の手術をしたことがあるか

などを説明するとスムーズです。

炎症が起こっていたり危険な病気が隠れていたりする可能性もあるため、少し休んでみてもお腹が苦しいときや、痛みがあるときは受診しましょう。
特に、強い痛みや出血を伴う場合は必ず受診するようにしてください。

症状がお腹の張りだけであれば、逆流性食道炎や機能性ディスペプシア、慢性胃炎の可能性があります。

逆流性食道炎や機能性ディスペプシアは食事療法や生活習慣の改善を行うことが推奨されています。睡眠不足、食事の時間の不規則さ、運動不足、高脂肪食はこれらの病気の症状を悪化する可能性があるとされています。そのため、規則的な睡眠を摂ることや高脂肪な食事を避けること、定期的な運動を行うことをおすすめします。
症状がそれほどつらくないのであれば、まずはこのような対処で経過を見るのも良いでしょう。

生活習慣の是正のみでは改善しない場合、ピロリ菌による胃炎などの病気が原因でお腹の張りを感じている場合もあります。そのため、症状が改善せず、続くようであれば内科を受診しましょう。

膨満感に対しては、低FODMAP食が有効と考えられています。FODMAPとは、小腸で吸収されにくい発酵性糖質の総称です。FODMAPが多く含まれる食品をとると腸内細菌の増殖や、多量な腸内ガスが生じて膨満感や便秘、下痢などの症状が現れることがあります。
低FODMAP食品としては、下記の食品が挙げられます。

• 米
• 味噌
• 魚介類
• 卵
• なす
• トマト
• にんじん
• バナナ
• いちご

お腹が張っているときは無理に食事をとらないようにしましょう。
どうしても食べなければならない場合は、消化のいいものを選んでください。
おかゆやスープ、よくゆでたうどんなど、温かくて柔らかく、脂質の少ないものを選ぶといいでしょう。
また、便秘が張りの原因になっている場合、食物繊維を多くとることで便通がよくなり、結果的に張りが改善することもあります。
なお、お腹の張りそのものを直接改善してくれる食べ物は特にありません。

症状が強い場合は病院を受診して、食事内容も含めて相談してみましょう。

早食い・食べすぎ・飲みすぎは避け、よく噛んで食べましょう。
適度な運動も胃腸の働きをよくするため、症状の改善につながる可能性があります。
ただし食後1時間程度は、消化器に負担がかからないよう、負荷のかかる運動などは避け、安静に過ごすことが望ましいです。
食事の直後はすぐ横にならず、ゆったりと楽な姿勢で過ごすようにしましょう。

大腸は、右下腹→右上→左上→左下の順に便を送り出しています。
この順番に沿ってマッサージなどで優しく刺激を与えると、便やガスの排出が促され、結果的にお腹の張りが改善する可能性があります。
また、お腹を温めることで、胃腸の働きが活発になり、便やガスが排出されやすくなることもあります。

お腹が張っている原因を正確に判断することが重要になります。
たとえば、胃腸の中の病気が原因であれば、食事の前後で症状が変わったり、お通じの具合が変化したりします。
症状が出るタイミングや以外の症状の有無といった詳しい症状の聞き取りや、症状に応じた検査によって、何が原因となっているかを特定します。

具体的にどのような検査を行うかは、考えられる原因によって変わります。
なんらかの腫瘍や炎症が原因となっているかどうかは、痛みの有無の聞き取りや血液検査などで確認します。
また、肝臓や子宮などの病気や妊娠が疑われるときは、超音波などの画像検査を行います。